無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第9話

9話
「で、俺がはぁ?って言ったら勝手に泣き出して、走って逃げてく。意味わかんねぇよ」

その言葉を聞いて、私は思わず箸を止めた。

「え……勝手に泣き出す?」

「あぁ。どうせお前ら女子の間じゃ俺が泣かせたことになってんだろうけどな」

「……ふーん……。信じない」

「だろうな。まぁ構わねぇけど」

神谷は空になった弁当を片付け、スマホをいじり出した。

それから、私が食べている間は話しかけてこなかった。

食べ終わったら、どうでもいい話題ばかり振ってきたけど。

でも、話してるうちに結構楽しくなってきてる自分がいて。流されやすすぎだろ、と自分のことながら呆れてしまった。

「お」

不意に鳴り出したチャイムの音に、神谷が小さく声を漏らした。

すかさず私はランチバッグを持って立ち上がる。

「じゃあこれで」

「――待て」

神谷にランチバッグを持っていない左手を掴まれて、無理やり何かを握らされた。

嫌悪感を全面に出しつつ左手を開いてみると、そこには100円玉が1枚と10円玉が6枚。

……え?

「買ってきてくれてありがとな」

ポンッと頭に手が乗せられる。

顔を上げた時、ちょうど微笑んでいる神谷の横顔が見えた。

そのまま神谷は私に背を向けて選択教室を出ていく。私は、足音が遠ざかった後で呟いた。


「……なんなの……!」