第8話

ウサギさんと吸血鬼。
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2018/03/28 01:44
ジン
き、きき、吸血鬼?
そう言った半獣人はひどく驚いた顔をしていた。
そりゃそうか。
街では吸血鬼は死神的存在として扱われているんだから。
テオ
そうだけど…なんか文句ある?
俺はわざと冷たい態度をとる。
どうせ怖がってすぐに出ていくだろうから。

だが、こいつは違った。
予想もしない言葉が帰ってきた。
ジン
す、すす…す…っっっっっごい!!!
本当に吸血鬼っていたんだ!!!!!
テオ
は?
ジン
まさか生きてる中で吸血鬼に会えるなんて!
うわぁぁぁすごいすごい!
テオ
ちょ、おま…っ落ち着けって…
ジン
え、あぁ、ごめんなさい。
僕はウサギの半獣人、「ジン」って言います
なんだこいつ。
吸血鬼だってわかって喜び始めやがった。
そんな奴今まで1人もいなかったのに。
皆真っ青な顔をして逃げていったというのに。
テオ
…俺は「テオ」
相変わらず無愛想な態度で名を名乗る。
ジン
テオかぁ…いい名前!カッコイイ!
テオ
はっ…?!
俺はなんだか小っ恥ずかしくなって顔を背ける。
こいつがいると調子が狂う。
ジン
で…急で悪いんだけど…1晩泊めてくれないかな?
テオ
………勝手にしろ。
俺はこいつを1晩泊めることにした。
案外面白そうだから。
それと…







寂しさが紛れる気がしたから。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
ジン
っはぁ〜…疲れたぁ
俺は勢いよくベッドへダイブする。
ふかふかで気持ちがいい。
ジン
まさか吸血鬼の館があるとは…思ってなかったなぁ
噂で聞いたことあった。

「獣人殺しの吸血鬼」

そんな名前が付いていた気がする。
だけど、その名前を聞いても不思議と恐怖心はなかった。
自分でも理由はわからない。
でも、今日わかった。


吸血鬼は優しいって。
皆に教えてあげようかな、とも考えたけど
これは秘密にしておこう。

彼と、僕の2人だけの秘密。
ジン
テオ…テオ…んふふ…
俺はいつの間にか深い眠りに付いた。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
テオ
ん、もう朝か…
俺はゆっくりと体を起こす。

そういや、昨日はおかしな奴が家に来たんだっけ。
テオ
ジン…だったかな
俺は独り言のように呟く。

すると、キッチンの方からいい匂いがしてきた。
テオ
ん、なんだこの匂い…
俺は一階へと階段を降りていくと、
ジンがキッチンに立っていた。
ジン
あ!テオおはよっ
こめんね、勝手にキッチン借りちゃった!
テオ
お、おはよ…ってこれジンが作ったの?
ジン
そーだよ!ほら、冷めないうちに食べちゃいなよ!
机にはとても美味しそうな料理が並んでいた。
トロトロの丁度いい焼き加減のスクランブルエッグに香ばしい香りを漂わせているトースト。
それから甘くて美味しそうなイチゴジャム。
自然とお腹が減ってきた。

俺は席について朝食を取り始める。
テオ
いただきます
ジン
どうぞ!
俺は黄色いスクランブルエッグを口に入れる。
ジン
ど、どうかな…?美味しい?
テオ
…ん、美味い
ジン
良かったぁ〜…!
こんなに美味しい朝食を食べたのはいつぶりだったか…。
俺は無言で食べ続けた。

あっという間にたいらげて、ジンに礼を言った。
テオ
その、ありがとな…。
帰り道教えてやるから準備しろ
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
テオ
そこを真っ直ぐいけば街に繋がってるから
ジン
そっか!ありがとね。
本当に助かった!
テオ
こちらこそサンキューな。
じゃあな、もう迷うなよ
ジン
…ねぇ、テオ
テオはその場から去ろうとした。

でも、俺はなんだかよく分からない衝動に駆られて思わず引き止めてしまった。
テオ
ん?どした
ジン
えっと、あの、そ…の
上手く言葉が出てこない。
言いたい、伝えたい。
ジン
ま、また…遊びに行っても…いい?
テオ
テオはしばらく考え込んだ後、一言だけこう言った。
テオ
次は昼間に来なよ
そういって一瞬で消えてしまった。
ジン
…ふぇ、い、いいの!?
うん!わかった!!また行くね!!!
テオとの秘密の関係。


誰にも言っちゃいけない約束。
……To be continued

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