第5話

運命ってやつ。
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2018/03/13 08:26
何が起きたのか理解出来ていない。

目の前にはトラック。

そして


真っ赤に染まったテオくん。
じんたん
え、ちょ…なに、なに、これ…?
ねぇ、テオくん?
なんでこんな事に…ねぇ、なんでなんで!?
喉がヒュウヒュウと鳴る。

声が出ない。

息が段々荒くなっていく。

冷たい汗が背中をつー…と流れていく。

死んじゃう、死んじゃう。テオくんが。

俺の大好きな…テオくんが。

助けて、誰か



助けて…!!!
テオ
落ち着いて
気がつくと周りは真っ白な世界だった。

そこにいるのは俺と、倒れているテオくんと



吸血鬼 テオだった。
じんたん
て、お?…
テオ
焦りすぎだ…冷静になれって。
大丈夫、こいつは死なないよ…
じんたん
ほ、んと!?
よかっだぁ……
テオ
ただ
じんたん
テオ
こいつを治すにはお前の血を貰う。
出血が予想してたより酷いからな…
テオくんに血をあげ…るって事…?
じんたん
それって、どんぐらい?
テオ

まぁ、体の中の三分の一程度だな
三分の一って…かなりの量だ。

でも、それで…テオくんが助かるのなら…
じんたん
いいよ。テオくんが助かるのなら
テオ
お前のそういう所が好きなんだよ…
テオは思い切り俺の首に噛み付いた。
じんたん
いっ…
テオに血を吸われている感覚がある。

噛まれているところが熱く、ズキズキと痛む。
テオ
っ…ぷは
サンキューな
そう言うと、テオはテオくんの首元に噛み付いた。
じんたん
テオくん…



数十分後、

テオはやっと首元から離れた。
テオ
よし、これで大丈夫。
もう心配いらないね
じんたん
よかった…
テオ
…じんたん
じんたん
なぁに?
テオ
俺、じんの事が本当に大好き。愛してる
じんたん
…うぇっ?!いきなり…どしたの?
顔がカッと熱くなるのがわかった。

でも、テオの目は苦しそうだった。
テオ
実はさ、俺、こうなる事がわかってたんだ。
じんたん
…は?
こうなる事って…
テオくんが死んじゃうってこと?
じんたん
え?ちょ、それってテオくんが…
テオ
違う。
死ぬのは本当はじんたんなんだよ
自分の心臓が大きく脈打ったのがわかった。

俺が…死ぬ?

じゃあなんでテオくんが…??
テオ
あいつ…きっと俺の日記見たんだろうな。
だから轢かれそうになったじんたんを庇ったんだと思う
じんたん
…そ、れって、つまり…
俺がテオくんを殺しかけたって事…?
テオ
まぁ、そうなるよな…現実では。
でもな、ここは違う。
この空間は一時的に時間を止めたんだ。
だから…
言葉を切って、テオはくるりと後ろを振り返る。
テオ
俺が…こいつの代わりになるんだよ
代わり?
つまり、代わりって…
テオが死ぬ?
じんたん
ま、待ってよ!!!
テオ…が死ぬって…なんでっ…!!
テオ
それが、運命ってやつだよ。
運命はどう足掻いても変えられない。必ず誰かが死ぬんだ。
だから、俺はお前を守るためにここに来た。
絶対に死なせたくないから…身代わりになるつもりだった。
でも…こいつに先を越されちまったわけだな…
そんな、そんな馬鹿な話あるか。
テオだって、俺の大事な親友…なのに。
じんたん
お、俺はそんな馬鹿な話信じ…っ
テオ
俺だって信じたくねぇよ…!!!!

でもな、あっちの世界であいつと約束したんだ。
もういないあいつと…
じんたん
あいつ…?
テオはそれ以上口を開かなかった。

あぁ、わかった。

テオの好きな人、だよね。

好きな人と約束してきたんだね。
じんたん
そっ、か…
テオ
俺みたいに、大事なやつを、愛している奴をじんに失って欲しくない。
だから…俺はいくよ
じんたん
…テオ
俺は後ろからテオに抱きついた。

テオは涙を流していた。

とても綺麗な、宝石みたいな涙だった。
テオ
これで、サヨナラだ
じんたん
うん…ありがとう、テオ。
守ってくれて…ありがとう。
絶対忘れないから…
テオ
…お前もこいつと幸せになれよ
そう言い残して、テオは光となって消えてしまった。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
暗い闇の中、俺はさ迷っていた。
テオくん
ここ、何処だ?
確か、じんたんがトラックに轢かれそうになった所を勢いで飛び込んで…
テオくん
…そうだ!じんたん!
じんたんは無事か!?
じんたんの無事を確認したい。
だけど真っ暗闇で何がどうなっているのかさっぱりだ。
テオくん
くっそ…マジでここなんなんだよ!
俺はあちこち出口らしきものを探してみたが、全く見つからない。

痺れを切らしそうになっていると…
テオ
おい、寺島
テオくん
!?お前…
どこから現れたかはわからないが、
あいつがいた。
テオくん
なぁ、ここなんだよ!?どこだし!
それに…じんたんは!?無事なのかよ…
テオ
それなら問題ない。
お前が突き飛ばしたからな。
無傷だ
テオくん
良かった…
一気に力が抜けていく感じがした。

すると、あいつは俺に何かを見せてきた。
テオ
これ、見てみろよ
それは鏡だった。
鏡の向こうには真っ白な空間。
そして…
テオくん
じん、たん?
じんたんがいた。

向こうにいるじんたんは泣きながら叫んでいる。
じんたん
テオくんっ…テオくん!死なないで…お願い…!
テオくん
え?俺が…死ぬ?
テオ
ここの世界は、生と死の狭間。
あっちは生だ
テオくん
てことは…こっちは…死?
テオ
そう。
お前は今、生きるか死ぬかの間にいるんだよ
うわ、まじかよ。
俺、死ぬのか…
テオくん
あー、そういやお前の日記に書いてあったな。

「必ず1人、誰か死ぬ」って
テオ
…やっぱり読んでたのか。
まぁいい、俺がなんでこの世界に来たか、教えてやるよ。
テオくん
テオ
じんを守るためだ
テオくん
守るため?
テオ
そう、本来死ぬのはじんだったんだ。
それは運命、とやらで決まっていたからな。
だけどお前がじんを庇ったせいで、それが狂ってしまった。
だが、今この生と死の世界を使うことで一時的に現実の方の時間を止めてあるんだ
テオくん
ふぅん…
で、俺は死ぬの?
とりあえず、難しい事は置いといて、
それが1番知りたかった。
テオ
…死ぬな
あぁ、やっぱりな。

運命には抗えないもんな。


死ぬんならじんたんに告白しとけば良かった。
あのイルミネーションの場所で。
俺は勇気が出なくて…なかなか言い出せなかった。
こんな事になるならすぐに言えば良かった。

返事はどうだろうと、気持ちだけでも伝えられただろうに…
テオ
後悔、してんのか
テオくん
まぁな…
ぶっちゃけ、かなり悔しかった。
この重たい気持ちを持ったまま死ぬなんて…
絶対したくなかったのに。
テオ
そんな弱音吐くくらいならよ…
とあいつが言いかけた時、
俺の首元に痛みが走った。
テオくん
いっ…!?
テオ
大人しくしてろ
あいつが俺の首元に噛み付いていた。

ジクジクとした痛みが俺を襲う。
テオくん
なんだよ…離れろよ!
テオ
この血はあいつから貰ってきたんだよ。
お前が生き返るならって…
無駄にすんじゃねぇよ
テオくん
えっ…じんたんの血?
じんたんが、俺が死なないために、
自分の血を分けてくれた…のか?






じんたん…お前、どんだけ優しいんだよ。
馬鹿じゃねぇの?
こんな俺のために必死に…
テオ
ぷはっ…
そんな顔するなら、もう後悔するような事はすんな。

お前らには俺みたいになって欲しくねぇんだよ…
テオくん
俺ら?
テオ
…俺には、あいつに似た彼女がいた。
彼女っつっても男だけどな。

だけど、俺はそいつを失った。
悔しくて堪らなかった。

でもあいつと約束したんだ。

「未来の生まれ変わりの運命を変えてやってくれ」って…

だから俺はこの世界に来たんだ
テオくん
…なるほどな。


わかった。俺、もう絶対後悔しない。

お前のためにも、じんたんのためにも…
テオ
あぁ。

そろそろ現実に戻るぞ。いいか、現実では

事故の5分前に戻る。

お前らのここにいた記憶が…残ってるかはわからないが、もう次はないからな。

…幸せになれよ。寺島
テオくん
…ったりめーだろ。

ありがとう、テオ。

じゃあな
そういって、テオは消えていった。
……To be continued
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