私の家出事件以降、私の気持ちの整理がつくように気を使ってくれたのか、
かつ兄はその後一度もその話題に触れなかったし、父さん、母さんも普段通りを演じてくれていた。
赤羽にも、続きの話は、まだ聞きには言っていない。
なんといっても、今日から職場体験。
不要な悩み事を抱えている暇はない。
朝、家を出発する時、かつ兄が妙に普段より早起きで、私の分の朝食まで準備しれくれたのは、
一週間、お互い顔が見られないのが寂しいからだろうと、私は察していた。
ただ、口に出して言ったら、かつ兄の機嫌を損ねかねないから、そこは黙って感謝の意だけ伝えた。
かつ兄は、ベストジーニストの事務所に行くようで、途中の駅まで一緒に行くことにした。
普通は空気読んで、聞こえてなかった!って言うところなんだけどな、。
やっぱり天然というか馬鹿正直というか
『次は〇〇駅です。』
なんとか事務所にたどり着くと、厳かな面持ちの事務所が現れた。
さすが、No.2だけあって、とても広い。
中から出迎えてくれたのは、エンデヴァー本人だった。
面と向かってあうのは初めてだから緊張するな、、。
すごい、、。
画面越しに見ていたよりも大きく感じる。
私二人分くらいの身長も横幅もありそうだな、、。
ん?今嫁ぐって言ったか?
言ったよな、、。
いや、全然、良くないんだが。
ピューン!
ほんと、エンデヴァー家の常識ってどうなってんだろ
ん?高校生男子がお姉ちゃんと一緒に寝てる、、。
いや、でも私もかつ兄と寝る時もあるから、兄妹って、それがふつうなのか、、?
まあ、寝るだけだし、轟だし、大丈夫か。
なんだかんだで今日の活動が無事終わり、私達二人は床につこうとしていた。
本当なら、布団を離して寝たかったんだが、それだと轟のことを避けてるみたいで可愛そうだし、轟自身は全く気にする素振りを見せなかったので
そのまま横に並んで寝ることにしたのだが、、、
全く起きる気配を見せずに、轟が、私の布団へ、寝返りするたびに転がって進出してくる。
イケメンって、寝相がいいイメージだけど、、、
轟って、寝相悪い、?
轟に手足でガッツリホールドされてしまった私は、身動き一つとれない。
しかも轟が寝返りするたびに、私まで転がされるから全く眠れない!
轟を流石に起こそうと思って、顔を覗き込むと、
まるで、天国にいるかのように少しほほえみながら穏やかな表情で眠っているもんだから
起こすのも気の毒に思えてしまう、、。
毎晩のお姉ちゃんの苦労が感じられて涙が出るよ。ほんと。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!