冬が過ぎ、吹く風も気持ちよく
なってきた春のこのごろ
3年間クラス替えのない俺たちに
ようやく変化が起きた
先生 「はい、皆さんおはようございます」
生徒 「おはようございます」
先 「今日は、なんと夢のない君達に…」
生 「なんだ、なんだぁ〜?」
先 「なんと、転校生がやって来ました!」
生 「うぉぉぉぉ!!!」
「女か?男か?」
「とりまうぇぇい!」
先 「じゃあ早速入ってきてもらおうか」
ガラガラッ
そこには美少女が立っていた
あまりの可愛さにざわめくクラス
ざわめいたのは可愛さだけじゃないだろう
きっと彼女の髪の毛先がピンクに染まり
そして、耳に沢山のピアスがあったからだろう
生 「え…かわいい」
「かっけぇ…」
「なんであんな格好なの」
確かにスカートは規定の長さよりも
はるかに短いし、肩下の髪の毛は
結ばなきゃだし、そもそも髪染めてるし
そんな感じだったから
クラスのざわつきはおさまらなかった
パンパン
先 「ほら、みんな!静かに!笑美さんが困るわ!じゃあ自己紹介をお願いします」
『……金城 笑美です』
(かねしろ えみ)
名前だけを告げた彼女は
俺の左隣の席である
1番後ろの窓際の席に座った
そして瞬間的に
友達になりたいと思った
頬杖をついて窓の外を眺める彼女に
声を掛けた
シルク 「笑美…さん?俺シルクって言うんだ、よろしく」
そして、彼女はこちらをゆっくり見た
『……』
だけれども何も答えてはくれなかった
また彼女は頬杖をついて窓の外を眺めた
俺は彼女の横顔を見て何か胸が締め付けられた
俺は彼女に一目惚れしたかもしれない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!