そして迎えた遠足当日。
ちょうどいい気温で
まさに遠足日和になった今日。
クラスの女子は
いつも以上にメイクに気合が入っている。
まぁ、その理由は聞かなくてもわかる
尽く
先生に容赦なくきつい言葉をあびせられる
女子たちは傷つく素振りを見せず
むしろ、トキメキの眼差しをしていた
もちろん私だって先生の横がいいけど
横がいい!!!!!!なんて言えるはずもなく
速やかにバスへ乗り込む
女子たちは先生は前に座ると予測したのか
先にみんなを乗せて
後で乗り込む作戦にしたらしい
なので必然的に
私と友達は後ろ側の席となり
そして一番後ろの4、5人座れる椅子をあけ
2人がけの椅子へ座る。
そして
数分後
女子達も乗り込み
先生が点呼を始める
はぁい!!!!!!
と黄色い声を上げる女子
そして窓の外を眺め
出発を待っていると
足音が近づいてくる。
そしてドスッと
後ろの席に腰を下ろした先生。
まさかのまさかで
変に緊張する。
前に座ると思ってたのに…………
変わらず何食わぬ顔を装いながら
外を眺めていると
多分先生が足組んだのか
椅子の下側にコトっと当たった感じがし
真後ろに座っているということが分かる。
出発して少し経ってから
あまりにも口数が少ない
私を心配してか
声をかけてくれた友達。
すぐ後ろに先生がいるから
変に緊張して口数が減ってしまっていたようで
そう言って
ポッキーを渡すと
喜んでくれて
そうやって2人仲良くポッキーを食べていると
ケータイのバイブがなり見てみると
…………コソコソっと友達と話したつもりが
後ろにいる先生には筒抜けだったみたいで……
こんな至近距離にいるのに
LINEをしているっていうのが
なんかソワソワするというか
先生と2人だけの秘密っていうのが
嬉しくて……
そう言われ
窓に顔を向けると
先生がヒラヒラ〜と手を振っているのが
窓越しに見えて
思わず顔がほころぶ
いきなりそんなことを言われ
思わずケータイを落としそうになる
コソコソっと言うのじゃなく
ダイレクトにそう言われたため
余計あたふたしてしまい
思わず小声にするのを忘れ
普通に言い返してしまい
茶化すようにそう言われ
頭をくしゃくしゃっと撫でられる
もう言い返す言葉もなく
自分でも顔が赤くなっているのを
自覚しているため顔を覆う
誰、というのを分かっていない友達は
平気でそんなことを言ってくれて……
その瞬間、バイブがなり
そんなことを言ってきて
完全に茶化されてる、感じで。
こんなにあたふたするのも
私だけなんだ。
そう思うと
ちょっとだけ
ムカッとしたので
そのままLINEを返さず
目を閉じ眠ることにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!