そして卒業生たちは
中庭へと集まり
他クラスの仲いい子たちとお別れの言葉を
交わしていた。
遠慮気味に聞いてくれた友達。
本当はね、本当は会いたい。
好きだともう一度伝えたい
馬鹿らしい強がりをみせ
最後くらいなぜ素直になれないのか
強がったところでなんの得もないのに
すると
ポケットに入れていたケータイが震え
画面を確認してみると
見慣れない番号で……
登録してない番号で
見覚えもない番号
間違い電話だろうか……?
とりあえず出てみることにした
そう言っても無言で
少し気味悪く感じ
少し強く言ってみると
直ぐに聞き覚えのある声が聞こえた
なんの心の準備もしてなかった為
言葉が出ない
喋れない私をほったらかし
言葉を続ける、先生
そして切れた電話…
あまりに唐突な事で固まってしまう
そう言ってくれた友達の笑顔がとても優しくて
思わず涙が溢れる
そして私は屋上へと足を進めた
溢れる涙を拭いながら
先生が待つ屋上へと
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!