第62話

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2021/01/14 06:38



そして卒業生たちは
中庭へと集まり

他クラスの仲いい子たちとお別れの言葉を
交わしていた。


友達
あなた
あなた

ん?

友達
…先生に会わなくていいの?
あなた

あぁ……






遠慮気味に聞いてくれた友達。



本当はね、本当は会いたい。


好きだともう一度伝えたい
あなた

いいや、先生も忙しいだろうし

友達
でも……
あなた

大丈夫だよ!!!!!!ありがとう





馬鹿らしい強がりをみせ

最後くらいなぜ素直になれないのか

強がったところでなんの得もないのに






すると
ポケットに入れていたケータイが震え

画面を確認してみると

見慣れない番号で……
あなた

え、誰





登録してない番号で

見覚えもない番号


間違い電話だろうか……?





とりあえず出てみることにした
あなた

もしもし




そう言っても無言で


少し気味悪く感じ
あなた

あの、どなたですか




少し強く言ってみると



直ぐに聞き覚えのある声が聞こえた
不死川先生
不死川先生



なんの心の準備もしてなかった為

言葉が出ない
不死川先生
不死川先生
まだ学校?



喋れない私をほったらかし

言葉を続ける、先生
あなた

…はい

不死川先生
不死川先生
屋上にいるから来てほしい
不死川先生
不死川先生
……じゃあ




そして切れた電話…



あまりに唐突な事で固まってしまう
友達
誰からだった?
あなた

……先、生

友達
なんて?
あなた

屋上で…待ってる、って

友達
あなた
友達
行っておいで



そう言ってくれた友達の笑顔がとても優しくて










思わず涙が溢れる
あなた

……行ってくる









そして私は屋上へと足を進めた


溢れる涙を拭いながら




先生が待つ屋上へと

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