教室に着いた
自分の席へと向かう
教科書や参考書を机の中に仕舞う
グシャッ
何かが机の中で潰れた音を発した
私は"それ"を取り出した
ラブレターだった
真っ白な封筒に
真っ赤なハートのシールが貼られている
さっきまで綺麗だったはずだが、今私がクシャクシャにしてしまったせいで、お世辞にも貰って嬉しい"手紙"とは言えない形状になってしまった…。
教室では須永くんも私のことを
琥珀"くん"と言う
"さん"とは普通、女子に付けるものという意識があるから、
私が女子という事を知らないクラスメートからしたら、もし私に"さん"が付いていたら不自然と思うのだ
手紙は他クラスの女子からのものだった
手紙には
放課後、屋上に来て欲しい
とだけが書いてあった
きっと告白だろう…。
だけど私はその気持ちに答えられない
そんな事を考えているうちに、教室に担任が入って来た
私はその手紙を急いでカバンにしまい席に着いた
私はそんな事を思い、授業へと意識を変えた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。