あなたの下の名前 side
登下校をジョンイナと一緒にして学校でも大体の時間を
ジョンイナと過ごすようになってはや2週間がたった。
そして今日は私の17の誕生日でもある。嬉しいはずの1日なのに私の気持ちは暗かった。
それはというものもだんだんボムギュに話しかけられることがなくなっていったからだった。
最初は嫉妬してくれていると分かって嬉しかったけど
ボムギュからは一向に好きと言われる傾向はないし、むしろ離れていっているような感じすらした。
昼休みも屋上に来ることはなくなったし私がジョンイナと話していても見向きすらしなくなったのだ。
今日、言われなかったらこの作戦はやめようと思っていた。
できるだけジョンイナの前では明るく振る舞って、気づかれないようにした。
少し不思議そうにジョンイナは首をかしげたけど
と言って笑う。いつもは可愛く見えるその笑顔も見るだけでなんだか苦しくて。
ボムギュを見るともっともっと苦しくて。自分からやり始めたのに情けないなと自分を惨めに思った。
放課後になってもボムギュは今までと同じだった。
私の誕生日であることを忘れているんじゃないかと思ってしまうほど。
HRが終わるとボムギュはまたどこかに行ってしまうし。
その後姿をボーッと眺めているとジョンイナに軽く肩を叩かれた。
そういった彼を見ると心のブレーキが壊れたような音がした。
溢れてくる涙。止めようと思ってもむしろ勢いをまして私の頬を滑り落ちていく。
言葉にしてみると余計に苦しくて、悲しくて。
私の顔を見てからジョンイナは目線を下に落とす。
その声は幾分暗くなっていて。
ジョンイナの言葉の意味がわからなかったけどジョンイナはスマホを出して何かを打ち込み始めた。
打ち終わると軽く息をついて、私に向き直る。
その時廊下から走る音が聞こえた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!