入学式翌日 .
晴れて第1志望の高校に進学でき 、
これからの日々に心躍らせていたのも
今日付けで終止符が打たれました .
悲劇のヒロインのごとく 、受け入れられない悲しみに
打ちひしがれるも 、外は憎たらしいほどの快晴 .
どう足掻いたって今突きつけられてる現実は
変わらないと分かっていつつも 、
私を見下ろす太陽をじろりと睨みつけてやった .
手持ちのお金を確認しても 、
家を借りて生活できるほどの資金はもちろん無く .
高校生になったらバイトを始めようと
元々思ってはいたものの 、今から急いで探したって
来月の頭に間に合うわけも無かった .
校門に近づくと生徒たちも増え 、
そんな会話が耳に届くようになった .
御曹司か … 昨日までは私もその会話に心を
踊らせていたはずだったのだけれど .
そう昨日までは !!!!
私が住むこの国は東西に長く 、
3つの区域に分けられている .
東区域の権力を握っている財閥の名を
『 Oriens財閥 』
西区域の権力を握っている財閥の名を
『 Dytica財閥 』といい 、
双方の財閥に 、跡を継ぐ御曹司が4人ずついる .
その内の西の財閥の御曹司達4人が 、
なんと今年この高校に入学したらしい .
私はまだ顔も知らなければ
名前も覚えていないのだけれど .
そんな名前もまだ知らない子達の会話を聴きながら
たしかに … とふと考える .
ただ東の御曹司達に比べて西の御曹司は
“ 世間知らずでとても手がかかる ” という噂があり
一般的な教育を学ぶためだったりするのかな〜 なんて .
中央区の権力を握っていた財閥が解体されたと
今朝のニュースで大々的に取り上げられていた .
あの調子だとしばらくの間ニュースは
その話で持ち切りだろう .
… まぁ 、どれもこれも私には縁のない話だ .
強いて何か言うとするなら 、
住む家やお金に困ることなく暮らせるの
羨ましいな なんて月並みな感想くらい .
ポツリと呟いた声は誰にも届くことは無い .
楽しみにしていたはずの高校生活が
今ではお先真っ暗 、まさに絶望 .
昨日軽やかだった足取りも今日は鉛がつきまとって
重くて重くて仕方なかった .
next .