『…ただ、いま………って、あれ?』
午後8:00時を回った時の事だ。
いつもなら19:00には帰っているはずの母が居ない。
リュックを下ろしリビングのテーブルに向かうと、そこには走り書きの手紙が置いてあった。
"ママは先に新しいパパに会いに行ってくるから、21:00に駅前の時計台で待っててね。夕飯は冷蔵庫の作り置きしておいたやつ食べて!"
…いや、あの。
今20:00なんですけど。
冷蔵庫を見ればただのおにぎりがポツンと佇んでいる。
自室のベッドで休もうかと思ったが、扉を開けたら何も無くなっていた。
きっと新しいお父さんの家にあるのかな?
…駅前までは歩いて20分かかる。
私はおにぎりをカバンに入れ、スマホを片手に家を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!