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『終わっ……た………』
もう18:36か…
ついさっきまで美術部恒例のトリックアート作品を完成させる為にずっと美術室に引きこもって、猫背の姿勢で絵の具を大量に使って机と向かっていた。
「お疲れ様」
ジミニがいちごミルクを隣において、私を見つめる。
『あ…パクジミン…』
目を凝らしていたせいで少しぼやけるジミニの顔。
人に心配してもらうなんて、そんな迷惑かけちゃダメなのに…
「部活終わって見に来たらこれだよ。腰痛くない?大丈夫?」
ジミニはいつも私のことを心配してくれる。
それが本心なのか、それとも上辺だけのことか。
でも、私は声をかけてくれるだけで嬉しい。
『う、ん…ありがと。先帰ってていいよ…掃除もあるし』
「あ、なら俺がやるよ!あなたは荷物まとめてて」
『えっ、でも…』
「いいのいいの!掃除用具入れがあるとこってどこ?」
…今だけは、ジミニの優しさに甘えてもいいよね…?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。