第57話

Fifty-four
1,825
2020/05/09 11:26
そこで初めて、自分が泣いてることに気づく
駿佑side
容態が悪化した次の日、あなたは無菌室に移された
俺たちはその場を離れることができず、ずっと部屋の前の椅子に腰かけてた
前処置も含むと、何日もかかるらしい
だから、今ここで待っていてもあなたとは会えない
........それでも、あなたのそばにいたくて、家に帰る気にはなれなかった
あなたの移植は無菌室で行われ、点滴を通してドナーの骨髄液を移植するらしい
ドナーであるあなたの父親が、今同じ病院で全身麻酔のもと、骨髄液を採取している
これで、あなたの白血球、赤血球、血小板という血球が回復すれば成功らしいが........
道枝駿佑
道枝駿佑
........あなた.......
会いたい........
でも、今あなたは戦ってる
俺も、自分に勝たなくちゃ......!
山田涼介
山田涼介
駿佑、ん
ちょうど、飲み物を買いに行ってた涼介くんが帰ってきた
道枝駿佑
道枝駿佑
ありがとうございます
山田涼介
山田涼介
うん☺️
......あれ、駿佑もつけてるんだ、それ
そういうと涼介くんは、俺の右手に結ばれてるミサンガを見た
道枝駿佑
道枝駿佑
あぁ
キャラじゃないのはわかってるけど、少しでもあなたが楽になったらいいなぁって思って、不器用ながら作ってみました笑
信じとる、俺は
あなたは、きっと大丈夫だって
不安やけど、俺が弱気になっちゃったらあなたも不安になっちゃうやろうし
だから、俺がもっと、強くならな
山田涼介
山田涼介
.......強いな、お前は
道枝駿佑
道枝駿佑
......え......?
ウィーン)
看護師
急いで、抗生剤と解熱剤の準備を!!!
お母さん
あの、何かあったんですか........!?
走って行こうとした看護師を止めて、あなたの母さんが尋ねる
看護師
あっ、西浦さんのご家族ですね
西浦さんは、骨髄移植をするために、悪い白血球をたたいて、今は免疫を司る白血球がゼロになっている状態です
そこへ新しい骨髄を移植して、経過を見てましたが、免疫機能が低下していますので、ウイルスや細菌に感染し、40度を超える発熱が見られています
.......うそ、だろ......
あなたは、あなたは大丈夫なのか........?
とてつもない不安が一気に俺を襲った
道枝駿佑
道枝駿佑
.......そ、それで.....あなたは大丈夫なんですか.....?
看護師
......なんとも、いえない状況で.......
春海さん
あとは私から話すわ
そう言って部屋から出てきたのは、春海さん
看護師
春海先生.......
春海さん
あなたは仕事に戻って
看護師は、俺たちに頭を下げると、足早に立ち去った
道枝駿佑
道枝駿佑
春海さん.....
あなたは.......?
俺は、不安を押し殺して聞いた
春海さん
これから、抗生剤と解熱剤で対応するわ
でも........状況はかなり深刻です
道枝駿佑
道枝駿佑
.......っっ
お母さん
うぅー........っ
お父さん
.......え.......
するとそこに、病衣をきたあなたの父親がきた
お父さん
あなた.......あなたは助からないのか....?
春海さん
まだわかりません
あなたちゃんは、今高熱で意識不明の状態です
移植前の処置で、免疫機能が落ちているから、すごく感染しやすい状態だし、それに対抗する力も弱いわ.......
正直、あなたちゃんの生きる力にかかってる
お母さん
そ、そんな.......っ
お父さん
あなた........っ
あなた.......
まさか.......このままいなくなったりしないよな.....?
俺を置いてくなんて、絶対許さん
俺は、ゆっくりと春海さんに歩み寄って、腕に縋り付いた
道枝駿佑
道枝駿佑
頼む.......っ
頼む、あなたを助けて.....っ
自分でも情けないと思うような声が出た
でも、これはあなたを思う気持ちが強いから
春海さん
駿佑...
道枝駿佑
道枝駿佑
春海さん、頼む.....っ
俺にあるものやったらなんでも差し出す......!!
あなたは、あなただけは失いたくない.....!!
俺の命よりも大事な人やから......!
春海さん
駿佑、あなたちゃんを信じるの
それしか、私たちにできることはない
骨髄が生着して血球が作られるまで、だいたい2週間
ここからが、闘いなの
道枝駿佑
道枝駿佑
あなた........っ
あなたを、失うのがこわい.....
道枝駿佑
道枝駿佑
頼むから、頼むから死なないでくれ.....!!
扉に手をついて、膝から崩れ落ちる
目元が熱くなって、頬の何かが伝う
道枝駿佑
道枝駿佑
頼む.......っ
山田涼介
山田涼介
ポン)
駿佑、話がある
すると、涼介くんは、俺の肩に手を置いてそう言った
顔をあげると、目が赤くなってる涼介くんと目が合う
山田涼介
山田涼介
.......いつ渡すか、いや、そんな瞬間が永遠に来なきゃいいって思ってたんだけど.......
謎の言葉を発して、涼介くんは黄色の封筒を俺に渡した
差出人は、
道枝駿佑
道枝駿佑
.....西浦あなた
あなた?
あなたがなんで俺に手紙なんか.......
































この時の俺は不思議でたまらなかった
































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