そこで初めて、自分が泣いてることに気づく
駿佑side
容態が悪化した次の日、あなたは無菌室に移された
俺たちはその場を離れることができず、ずっと部屋の前の椅子に腰かけてた
前処置も含むと、何日もかかるらしい
だから、今ここで待っていてもあなたとは会えない
........それでも、あなたのそばにいたくて、家に帰る気にはなれなかった
あなたの移植は無菌室で行われ、点滴を通してドナーの骨髄液を移植するらしい
ドナーであるあなたの父親が、今同じ病院で全身麻酔のもと、骨髄液を採取している
これで、あなたの白血球、赤血球、血小板という血球が回復すれば成功らしいが........
会いたい........
でも、今あなたは戦ってる
俺も、自分に勝たなくちゃ......!
ちょうど、飲み物を買いに行ってた涼介くんが帰ってきた
そういうと涼介くんは、俺の右手に結ばれてるミサンガを見た
信じとる、俺は
あなたは、きっと大丈夫だって
不安やけど、俺が弱気になっちゃったらあなたも不安になっちゃうやろうし
だから、俺がもっと、強くならな
ウィーン)
走って行こうとした看護師を止めて、あなたの母さんが尋ねる
.......うそ、だろ......
あなたは、あなたは大丈夫なのか........?
とてつもない不安が一気に俺を襲った
そう言って部屋から出てきたのは、春海さん
看護師は、俺たちに頭を下げると、足早に立ち去った
俺は、不安を押し殺して聞いた
するとそこに、病衣をきたあなたの父親がきた
あなた.......
まさか.......このままいなくなったりしないよな.....?
俺を置いてくなんて、絶対許さん
俺は、ゆっくりと春海さんに歩み寄って、腕に縋り付いた
自分でも情けないと思うような声が出た
でも、これはあなたを思う気持ちが強いから
俺にあるものやったらなんでも差し出す......!!
あなたは、あなただけは失いたくない.....!!
俺の命よりも大事な人やから......!
あなたを、失うのがこわい.....
扉に手をついて、膝から崩れ落ちる
目元が熱くなって、頬の何かが伝う
すると、涼介くんは、俺の肩に手を置いてそう言った
顔をあげると、目が赤くなってる涼介くんと目が合う
謎の言葉を発して、涼介くんは黄色の封筒を俺に渡した
差出人は、
あなた?
あなたがなんで俺に手紙なんか.......
この時の俺は不思議でたまらなかった
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。