次の日、学校に行けば朝から心臓が止まりそうになった。
そう。教室の入り口で俺は彼を見て動けなくなってる。だって……目の前に立つ鷲木があの青年にそっくりだったから。
我にかえって、自分の席に向かった。教科書を机に詰めながら考える。
これは、つまり、天川さんと鷲木を引き合わせないといけないということだ。
俺の考えでは、多分この二人は過去に結ばれなかったから、娘だろうか中野神社に祈願したんだと思う。だから中野の神様はそれを現世で叶えてあげようとしてるんだ。そして引き合せる役を俺は神様から任された。これは最後までやりとげないとな。
小声で呟いたはずなのに、
後ろから返答がきてびっくりする。振り返れば、にこにこした天川さんが立っていた
そう言って、天川さんは自分の席へ戻っていった。それをぼんやり見ていると、ふとアイデアが浮かんだ。
鷲木と天川さんはまだ喋ったことがないはず。だからまず、どうにかして二人の接点を作らねばならない。俺の引き合わせ作戦が始まった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。