それを聞いた俺はそっと隣の結兎を見た。結兎も同じようにこちらを見ていた。
二人を見れば、鷲木の方は自分の発言に気づいたらしく赤かった顔が更に赤くなった。一方、金土先生はにこにこしながら、
と言う。これは多分、恋愛の好きだと思ってない。
鷲木をじっと見れば、何かを決意したような真剣な表情を浮かべていた。そして……。
真っ赤になりながらも、先生を真っ直ぐに見つめて言いきった。金土先生が驚いた表情を浮かべたが、その後どんどん赤くなっていく。
そして、金土先生と鷲木は幸せそうに笑いあっていた。
どうやら、これで俺の役目は終わったらしい。俺の勘違いで遠回りさせてしまったが、今世では2人がどうか幸せになりますように……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!