第2話

-2-
74
2019/08/27 00:27
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
ああ〜やっと帰れる! 疲れたね
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
はは、そうだね
うーんと伸びをしながら、隣を歩くのは天川さん。ついさっき、やっと図書委員が終わったり、天川さんの提案で俺達は駅まで一緒に帰ることになった。学校から駅まではかなり近く、徒歩5分ほどで行けるのだ。
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
あ、そういや天川さんは何方面の電車?
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
私、北だよ。白鳥くんは?
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
俺も北。一緒の方面だったんだな
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
ね、私も驚きだよ! 駅までって言ったけど、せっかくだし途中まで一緒に帰ろうよ
わくわくとした表情でこちらを見てくる。
なんか、こう、尻尾が見えそうな勢いだ。
笑いが堪えられず、俺がふっ、とふきだせば表情は一転。天川さんはムッとした顔になってしまった。それがまたおかしかった。
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
なんで笑ってるの……
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
いや、天川さんってなんか子犬みたいにみえて
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
ええー! 女子高生にそれは流石にないよ!
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
いや、ほんとごめん……ぷっ
はははと俺が笑ってると、ムッとしていた天川さんもいつの間につられて笑っていた。
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
(ほんと、くるくると表情が変わる奴だな)
駅に着いたあとも電車が来るまで小さいくすくす笑い、笑いが収まらなかった。




電車に乗れば少し人が多く、空いていた扉近くに並んで立った。
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
あ、天川さん大丈夫? 狭くない?
狭くないか確認するため、隣に立つ天川さんを見ると目があった。
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
うん大丈夫ありがとう。それより久々にこんなに笑ったよー。まだお腹がくるしいし、涙出てくる
目尻に浮かぶ涙が目に止まり、俺は「やばい!」と思った。けれどそれは遅く、頭が割れそうなくらい痛くなる。
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
(くそっ! 油断してたし、よりによって酷いやつだ!)
電車の揺れと頭痛でふらっとしてしまう。
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
え、ちょっと、白鳥くん!
それをとっさに天川さんが支えてくれ、なんとか倒れずに済んだ。
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
ごめん、ありが、とう
それと同時に

「次は、○○駅、○○駅……」

という車内放送が流れた。
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
(ナイスタイミングだ……)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
わるい、あま、かわさん。つ、ぎで、おりる
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
うん、分かった。荷物かして、私持つから
白鳥 海星(しらとり かいせい)
白鳥 海星(しらとり かいせい)
い、や……いい
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
いいじゃない!
俺が肩にかけていた荷物を奪い、電車が止まって扉が開けば小さな体で俺を支え、電車を降り、ホームの椅子に座らせてくれた。
天川 海月(あまかわみづき)
天川 海月(あまかわみづき)
ここでちょっと、待っててね! すぐ戻ってくるから
頭が割れるような痛みで、意識が朦朧とする。ぼんやり歪む視界……天川さんが走り去っていく姿が見えたのを最後に暗くなった。

プリ小説オーディオドラマ