私達は今。世でいう倦怠期、なのかもしれない。
毎日帰ってくる時間は違う、全部すれ違い。
でも、嫌いじゃないの、私。
健人のこと好きだよ。これでも大好きなの。
寂しくない、そう寂しくないの。
こんな生活前なら耐えられなかったはずなのに
今は寂しくない。
なんて思ってたら玄関からガチャ、という音がした。
『…ただいま、』
「おかえりなさい…」
やっと、会えたのに。何を話せばいいのか分からない。
やっと、会えたのに。健人の顔を思うように見れない。
『ねぇ、あなたさ俺のこと好き、?』
急。急すぎる。
頭ではわかってる。わかってるのに、
大好きで大好きでたまらないの。それくらいなのに。
なんで、言葉が出ないの?
『…好きか嫌いか、答えろよ、』
今まで聞いた事ない低くてドスの効いた声。
どうしよう、私のせいで、
怒ってる、健人が。
『あぁもうごめん、泣かないで。』
そう言って私のことを抱きしめる健人。
無意識に、泣いちゃってたみたい、ダサいなぁ。
『俺さ…不安なの。不安で不安で仕方ないの。毎日毎日俺ばっか好きみたいで、もう冷たくしてやろうって思って、そしたらあなた話しかけてこないし、もう俺限界。』
私の唇に触れる生暖かくて、心地いい柔らかいモノ、
何ヶ月ぶりだろう、
また、泣いちゃう、
『…もう、そんなえっちな顔しないで』
「だって…」
『あなた、一人でしてたでしょ。』
「え?!」
『聞こえてないとでも??あなた、一人でしちゃうなんて悪い子だなぁ、』
そこから意識を飛ばすまで何回も健人の思うがままにされたのは言うまでもない。
『あ、ねぇあなた。俺のこと好き?』
「えっと…」
『好きか嫌いか、答えて?』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!