第118話

Ep.105
189
2021/04/07 12:44
ソクジン
ソクジン
……あなたッ
ソクジン
ソクジン
ゔぅ……あなた・・ック…





どれだけの涙を流せば








あなたを忘れられるのか









それがわからないからまた今日もまた君を思って








僕は泣く。








あの日訪れたあなたの部屋。







窓の外には綺麗なオレンジ色の夕日








それを眺めているあなたもオレンジ色に染められて








儚さをより浮き彫りにしていた。








手にしたあなたの好きなチャプチェの入った弁当箱








それを握りしめた。








今だに見つからないあなたを治す術






見つかったとしてあなたは待っていてくれるのか







正直今の姿を見れば






時間がないのは一目瞭然だった。








貴方
貴方
わ!ジン兄のチャプチェだぁ〜♪
ソクジン
ソクジン
夕飯付き合って♪
ソクジン
ソクジン
あいつら付き合ってくれなくて寂しいんだよね。
貴方
貴方
仕方がないなぁーいいよw




そう言って嬉しそうに笑ってくれた。





それだけでよかったんだ。






ずっとそうやって笑っていてくれればよかった






多くは望まない。








それだけをただひたすらに願ったのに















左手で器用に食べるあなたと顔を見合わせて






笑って。







今日あったこと。







今してる事。








そんな事を話した。










貴方
貴方
ジン兄…
貴方
貴方
一生懸命私たちのお兄さんでいてくれてありがとう
急にそんな事を言い始めたあなた







それが最後の言葉のようで






しばらく動けなくなった。







少しずつあなたが霞んできて







嗚呼。俺泣いてるんだってわかった。











ソクジン
ソクジン
あなたこそ俺の妹でいてくれてありがとう。



そんな言葉しか思いつかなくて








でもその言葉に満足そうに笑うあなた









きっと俺たちはあなたがいるから









だから防弾少年団でいられるんだよ。









ソクジン
ソクジン
じゃあそろそろ帰らなきゃ。
貴方
貴方
ジン兄ごちそうさま。
ソクジン
ソクジン
こちらこそ付き合ってくれてありがとう。




面会時間ギリギリまで話し込んで








重い腰を上げて部屋の扉へ向かう









手を振るあなた。







それに応えるように俺も手を振った










部屋の扉を閉めて一歩踏み出した時だった。














––––––––––ガシャンッ!!!!!!












廊下に鳴り響いた金属音。








慌てて開けた扉。








その先の光景に言葉を失った。








ソクジン
ソクジン
あなた………






















アラートブザーが鳴り響く室内。






ベッドの上には







真っ赤に染まるあなたが力なく






倒れ込んでいた。











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