第77話

Ep.64
187
2021/03/30 04:01



あの夜疲れているはずなのに



全く寝付けなかった。




あなたが脱退する意味も





あなたが脱退を選んだ理由も全く理解できなかった





スーツケースに入ったままのあなたへのお土産



もう渡すこともないと思うと



それも見たくなくてクローゼットの中に仕舞い込んだ




リビングに降りると明かりがついていて




ダイニングのテーブルに座るジニヒョンが見えた











ソクジン
ソクジン
眠れない?
ホソク
ホソク
はい。
ソクジン
ソクジン
だよね。
そう言って立ち上がったジニヒョン。


ジニヒョンが座っていたところに置かれた一冊のノート



表紙には独特な字で大きく












『防弾メシ』の文字












あなたの字だとすぐにわかった。












ホソク
ホソク
これ・・・
ソクジン
ソクジン
あぁ・・・
ソクジン
ソクジン
キッチンにね置かれてたの。
ソクジン
ソクジン
みんなの好物だったり美味しいって言ってたメニューだったり
ソクジン
ソクジン
どんな気持ちであの子はこれを書いたんだろうね



そこにはみんながいつも食べていたあなたの料理の数々




いつもその食卓にはみんなの笑顔があったこと。




それを思い出してまた泣けてきた。




ソクジン
ソクジン
はい。
そう言って置かれたのは



あなたがいつも眠れない時に飲んでいたホットミルク



ジニヒョンのホットミルクは不思議と眠れるって




不眠気味だったあなたもこれさえあれば



すぐ眠っていたように思う。




ほのかに甘くて温かいそのミルクに口をつけると



リビングのソファーの端で



いつもチビチビ飲んでいたあなたを思い出した




ジョングク
ジョングク
ジニヒョン・・・ホソギヒョン・・・
そう言って真っ赤な目をして降りてきたうちのマンネ



一際あなたっ子だったマンネ



そんなマンネを可愛がっていたあなた



マンネを皮切りに続々とメンバーがリビングに集まり出して



結局一睡もできぬまま迎えた朝。



誰1人口を開かず



ただぼーっと流れるあなたの脱退のニュースを眺めていた。

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