第14話

Ep.1
336
2021/03/18 21:55
マネヒョン
早くしろよ!時間ないんだぞ!
防弾少年団
防弾少年団
はーい。
デビューしてから今日まで過ごした宿舎。




悔し涙も



嬉し涙も染み込んだこの宿舎との別れ




長いようで短かったこの狭い宿舎には




たくさんの思い出がありすぎて





離れがたい。





ジョングク
ジョングク
マネヒョン…
マネヒョン
なんだ?
ジョングク
ジョングク
やっぱり行かなきゃだめですか?
ジミン
ジミン
ここにいちゃだめなの?
テヒョン
テヒョン
………
マネヒョン
はぁ…そりゃ愛着があるのはわかる。でもなお前らもありがたいことに知名度も上がって
マネヒョン
ここのセキュリティじゃ守るにしても限界がある。
お前達を守る為でもあるんだよ。
遠くでマンネ達がここを出ていくことを渋っている



わかるよ。




俺たち的にも会社的にも



今の現状ではここで生活する事に限界を感じていることも。



そしてマンネ達がここに残りたい理由も



知名度が高くなるにつれファンも増えていった。



それと同じようにサセン達も増えた。



サセン達にもこの宿舎はバレているし



セキュリティも強固ではないから



ポストに手紙や時にはゾッとするものまで投函されてたり



玄関の前まで来たり。



身の危険を感じないわけではない。



それでもここにいたいのは
  


思い出がありすぎて手放すのが怖いから




マンネ達を宥めるマネヒョンの声が聞こえる。



その声をBGMに荷造りを進める






ユンギ
ユンギ
あ…




いつだったかあいつに押し付けられたベットホン。



俺はオーディオテクニカ




アイツはスカルキャンディ




それぞれにこだわりがあった。




作業室のソファーの右端はアイツの特等席だった。




名前の通りスカルが描かれた



見た目は少しゴツめのヘッドホンをして



目を閉じて



アイツはいつもいた。



落ち着く。




ここに来ると口癖のようにそうこぼしては



ここで共に過ごした





俺の纏う空気感とアイツの纏う空気感



波長があったんだと思う。



重低音の響きがいいとプレゼントされた



アイツお気に入りのベットホン



使わずにいたら少し拗ねていたのを思い出した。



大事にしすぎて使えなかった




次作る曲はこれをつけて作ってみようか。
ユンギ
ユンギ
ㅎㅎㅎㅎ
ダンボールの中に大切に仕舞い込むと


笑みが溢れた。



アイツはなんと言うだろうか。




–––––––––コツッ!


ユンギ
ユンギ
ッ!!


何が倒れたような軽い音。


そこにあったのはアイツのパンドラの箱。


いやパンドラという名のあいつの軌跡



怖くて開けようとしなかったソレ



なんとなく手を伸ばし



今まで開くことのできなかったソレ



もう大丈夫だろうか




大丈夫だと思う。



ソレを手に取るとその開けることのなかった



パンドラの箱を開けた。

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