第98話

Ep.85
184
2021/04/03 06:49



カムバ前。



それぞれ個人の仕事があるメンバーもいたけど



特に予定がなかった俺は二日間のオフができた



迷わず取った飛行機のチケット



向かう先はあなたの病院。



病院についてあなたの病室に入ったけど



そこは無人状態で



驚いて受付に駆け込んだ



下手くそな日本語に耳を傾けてくれて



案内されたのは



小児病棟。




何故?と思いながら入ったその病棟



奥からピアノの音が聞こえた。




〜〜

そばにいてずっと
僕のためずっと
遠くなりそうで 逃げそうで
怖いくらい、辛い
このままずっと
時間よ止まって…
君が離れて
恋しくて
怖いくらい、辛い



〜〜〜




涙を流しながらピアノを弾き歌うあなたの姿が




とても綺麗で見入ってしまった。





歌い終わったあなたと目があった。



止まっていた涙がまた溜まって




俺を見つめる目が助けを求めているようだった。







貴方
貴方
ジン兄……
ソクジン
ソクジン
いい曲だね…あなたが作ったの?
貴方
貴方
そう。ここで出来た友達の為に作ったの…
貴方
貴方
ッ…でも…お空に逝っちゃったッ…
ソクジン
ソクジン
えっ……
そう言って泣き崩れるあなたを抱き止めて



戻ってきたあなたの部屋



曇り空だった空から雨が降り始め



少し暗くなった室内にあなたの鳴き声だけが



悲しく響いていた。
貴方
貴方
7歳だったの…
貴方
貴方
ARMYでね…私のペンだったんだって…
貴方
貴方
私みたいになりたいって…治療頑張ってたって……
貴方
貴方
勉強も…友達も…夢も…
貴方
貴方
全部諦めて頑張ってたのに……
貴方
貴方
なんッで…神様は意地悪なんだろッ……
貴方
貴方
ねぇ…ジン兄…私もっと……

















『生きたい………』





















消え入りそうな声でそう呟くあなたを



ただ抱きしめてやる事しか出来なくて



こんなにも生きたいと願うあなた



どうかこのまま



時間が止まって……











そう願っても時間は残酷で



少しずつあなたを蝕んでいく……




それを見ているしか出来ない俺はなんて無力なんだろう。



その無念さに涙した。

プリ小説オーディオドラマ