第138話

Ep.124
187
2021/04/19 21:04
余りにも呆気なかった。






だから今もまだこれが現実なのかさえ







わからないまま彷徨っている。





ただ目の前のナムジュニヒョンはシヒョクヒョンとずっと葬儀場の人と打ち合わせしてるし





ホソギヒョンはスタッフの人やマネヒョンと今後の話をしてるし





ジニヒョンは来てくれた来客者の対応してるし






ユンギヒョンはずっと俺の隣にいる。







俺はその光景をぼーっと眺めてた。






布団の上で眠るヌナ








そこは静かに来たユリヌナはそっとメイクボックスを開けた。






時々聞こえて来る鼻を啜る音






少しずつ色づいていくヌナ









ユリオンニ
ユリオンニ
私さ…あなた迎えに行ったでしょう?
ユリオンニ
ユリオンニ
その時サラを殴っちゃったんだよね……
ユリオンニ
ユリオンニ
痛かっただろうな…
ユリオンニ
ユリオンニ
ごめんね。あなた……ック…
そう言って泣き始めたユリヌナの涙が






ヌナの頬を濡らして






血色感を取り戻したヌナは







今にも起き上がってきそうだった。










ユリオンニ
ユリオンニ
だってさ…あなたが言うの
ユリオンニ
ユリオンニ
葬儀は日本式にしてねって。
ユリオンニ
ユリオンニ
韓国のお葬式は棺に入れられてすぐさよならでしょ?寂しいって
ユリオンニ
ユリオンニ
棺の中にみんなで花をたくさん入れてもらって
ユリオンニ
ユリオンニ
みんなに逝ってらっしゃいって見送られたいって
ユリオンニ
ユリオンニ
そんな事言うのよ?
ユリオンニ
ユリオンニ
馬鹿言わないでって……この子に会ってもらわないと困るって





少し前にユリヌナはマネヒョンの子を妊娠した。






幸せそうに微笑んでいて






ヌナも一緒に喜んでいた。








ユリオンニ
ユリオンニ
そしたらそうだねって笑ってた……なのにッ…
ユリオンニ
ユリオンニ
早すぎるよ……あなた……
ユリオンニ
ユリオンニ
私まだあなたに何も返せてないよ。
ユリオンニ
ユリオンニ
あの日あなたが救ってくれた日……嗚呼韓国も捨てたもんじゃないって…
ユリオンニ
ユリオンニ
あの日から日本人の私も1人の仲間としてみんな見てくれるようになって…私ここまで頑張れたんだよ。
ユリオンニ
ユリオンニ
何にも返せてない……
そう言って泣いたユリヌナ。





そうこうしてるうちにフラっといなくなった







テヒョンイヒョンを探しに行ってたジミニヒョンが







テヒョンイヒョンを連れて戻ってきた。








虚な目をしたテヒョンイヒョンは静かに歩みを進めると






あなたヌナの前に座って









ヌナの頬を撫でた。










テヒョン
テヒョン
あなた…起きて…
テヒョン
テヒョン
ねぇ……
テヒョン
テヒョン
いつまで寝てるの……??
ジミン
ジミン
テヒョンア……?
ジョングク
ジョングク
……ッ!!!!
そういうと両手でヌナの頬を包んで






愛おしそうに涙を流しながら








額を合わせて








静かに泣き始めた……











もしかしたらヒョンが一番この状況を









受け入れ難い……








静かに泣き始めたヒョンの声が大きくなる頃










抱きしめられたヌナ








ヒョンの涙でヌナの濡れた頬







冷たくなってしまったその体温が









これが現実だと物語っていた。

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