あの家で生活するようになって一年が経ち
5歳を迎えた頃から私に本格的に茶道の英才教育が始まった
よくそれが嫌で逃げた
そんな時出会ったのが千家 柊
2つ年上の腹違いの兄。
とても優しくてあの冷たい家で唯一暖かい人だっ
た。
よくお茶のお稽古をサボってな兄の部屋に匿ってもらってた。
たまに茶会に出ていた兄がこっそり茶菓子をくれたり
茶道のお偉いさんの秘密を教えてくれたり
そんな時内緒だよ見せてくれた動画。
そこに映っていたのは韓国のアイドルが歌って踊る姿
母にバレると取り上げられちゃうから
イヤホンをつけて2人でこっそり見ていた。
そう悲しそうに呟いた兄を元気づけたくて
隠れてこっそり練習した。
ダンスの先生なんていないから独学。
あの動画を繰り返し繰り返し見て
お稽古そっちのけで。
兄の前で踊って見せたらキラキラした目で見てくれた
そうやって笑ってくれるから嬉しくて
ダンスが楽しいと思えた。
きっと私がダンスを好きになったルーツはここだと思う。
でもそんな矢先だった。
父に言われた。
これからは男としてこの家を継げ。
長かった髪を切った。
その日から着る服、着物は黒やグレー
男の子として生きることを半ば強制的に強いられることとなった。
兄の身代わり。
きっとそういう事。
私の姿を見て兄は悲しそうな顔をして
そう言って涙を流した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。