第113話

Ep.100
177
2021/04/06 21:30



どれくらいそのままいただろうか。




しばらく泣き続けるあなたを抱きしめていた。






貴方
貴方
……ッゲホッゲホッ。
テヒョン
テヒョン
あなた?
しばらくすると激しく咳き込み始めたあなた




背中をさすりながらどうすればいいかわからなくて





テヒョン
テヒョン
誰かッ!!誰か助けてッ!!
ただ叫ぶしか出来なくて




その後はスローモーションのようだった。





俺の声を聞いた看護師さんとお医者さんが部屋に来てくれて





目の前で苦しむあなたをそのままベッドに寝かせると




テキパキと処置をするその様子を





部屋の外から眺めることしかできなくて





そのまま部屋の外の廊下で





どれだけの時間を過ごしたんだろう





看護師さんとお医者さんが部屋から出て行った後





入った病室で眠るあなた。





心電図のモニターは映る心臓の波形に安堵した




ただあなたの頭をひと撫でして





その場で泣き崩れた。




あなたを失う恐怖と




あなたがまだ生きている安心感と





なんとも言えない想いが溢れ出た。






その時触れた冷たい手。




その手の冷たさに顔をあげれば




困ったように笑うあなたの顔。





呼吸器がつけられてこもった声。






でも確かにあのあなたのはにかんだ顔で






貴方
貴方
テー君は泣き虫だね




そう言ったんだ。





その声にまた泣けてきて





鳴り続けるカトクの通知なんて無視して






涙が枯れるんじゃないかというくらい泣いた。







落ち着いた頃戻ったら






俺の真っ赤な目を見たヒョン達は





何も言わずに抱きしめてくれた。






あの日気づいてしまったんだ






あなたの時間がもう残り少ないこと……








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