第84話

Ep.71
188
2021/04/01 12:30




もう少しで出来上がると言う時



部屋にノックの音が響いた。



返事をしてそちらに向くと



ひょっこり顔を出したのは愛莉ちゃん。



ほっと胸を撫で下ろした。



よかったって。



また笑ってるって思った。



私の部屋に来たのは初めてだったから



キョロキョロしてて可愛かった。





貴方
貴方
どうしたの?
愛莉
愛莉
なんかちがう部屋だとドキドキするね
貴方
貴方
看護師さんには言ってきたの?
愛莉
愛莉
内緒!
貴方
貴方
ダメじゃん。
そう言って笑い合った



きっと今頃小児病棟では探し回ってるんじゃないかな?



なんて思ったけど



キラキラした目でそこにいる愛莉ちゃんに帰れなんて言えなくて



そっとギターを手に取った。
貴方
貴方
可愛いお嬢さん。一曲聞いて行かれますか?
愛莉
愛莉
いいのー??
貴方
貴方
約束だったでしょ?
愛莉
愛莉
ヤッタァー!!



ごめんごめんねってbaby〜もう言わないで



情熱に染まるその唇で



早く殺して



僕なら大丈夫だよ



でも最後に見つめてよ



君に会いたい


そんな時に



その笑顔をそっと描けるように



君を離せるわけない



こんな僕にずっと 苦しい思いしてたの?



教えてくれよ


馬鹿だよな


君が消せない



もういないのに



君のoh目、鼻、口もそっと触れた小さな手


未だに感じてるのに


炎が黒く焼け落ちたように僕らの愛



辛すぎるから今君を呼んでるよ







愛莉
愛莉
すっごく上手!
愛莉
愛莉
声がすごく綺麗だね!
そう言ってキラキラさせて見てくる彼女。


そんな彼女の純粋な笑顔を見ていたら私まで


笑顔になれたあの頃



私は間違いなくあの小さな少女に救われてた。



私の新しい友達は10個以上下の



7歳の少女だった。

プリ小説オーディオドラマ