その日も変わらずただ無心にダンスを踊って
何も考えないように
でもそんな状態だから思うようになんて踊れるわけなくて
乱暴に音楽を止めて
誰にもぶつけられない苛立ちを
自分にぶつけた……
上を向けばただ光るライトと見慣れた天井
目の前の鏡に映る情けない俺の顔
その姿に乾いた笑いを浮かべた。
ダンスシューズの音が好きだった
踊った時に溢れる汗が
少し上がった息さえも心地よかった
いまはそれら全てが苦しい。
大きなため息をこぼして膝を抱え
項垂れた…
––––––––––…ジー……ザザッ…〜〜♪
突然止めたはずの音楽が雑音と共に流れ始め
驚きで顔を上げたけれどそこには俺一人
流れ続ける音楽…
–––––––––––––––……キュッ……バキッ
突然聞こえたダンスシューズが床に擦れるような音と
床板が歪むような音……
多分メンバー1怖がりな俺…
でも何故かその音を聞いても怖くなくて
時折聞こえるその音に懐かしさを感じた……
そう零せば点滅したライト
そうだよって言ってるようで
知らぬ間に泣いていた自分……
悲しくてとか
悔しくてじゃなくて
また君を感じられた事が嬉しかった……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。