第144話

Ep.130
141
2021/04/24 01:00






その日も変わらずただ無心にダンスを踊って








何も考えないように







でもそんな状態だから思うようになんて踊れるわけなくて









乱暴に音楽を止めて








誰にもぶつけられない苛立ちを








自分にぶつけた……








上を向けばただ光るライトと見慣れた天井







目の前の鏡に映る情けない俺の顔








その姿に乾いた笑いを浮かべた。












ホソク
ホソク
ダサッ……




ダンスシューズの音が好きだった








踊った時に溢れる汗が








少し上がった息さえも心地よかった








いまはそれら全てが苦しい。








大きなため息をこぼして膝を抱え








項垂れた…











––––––––––…ジー……ザザッ…〜〜♪













ホソク
ホソク
え…?
突然止めたはずの音楽が雑音と共に流れ始め








驚きで顔を上げたけれどそこには俺一人








流れ続ける音楽…









–––––––––––––––……キュッ……バキッ







突然聞こえたダンスシューズが床に擦れるような音と







床板が歪むような音……








多分メンバー1怖がりな俺…









でも何故かその音を聞いても怖くなくて







時折聞こえるその音に懐かしさを感じた……








ホソク
ホソク
あなた……なの??







そう零せば点滅したライト







そうだよって言ってるようで







知らぬ間に泣いていた自分……







悲しくてとか







悔しくてじゃなくて








また君を感じられた事が嬉しかった……






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