あの日祈るように向かった俺たちの宿舎。
エレベーターを待つ時間も惜しくて
疲れも忘れて駆け上がった階段。
きっといる。
おかえりって笑って
そして俺たちはまだ起きてたの?って言って
そして今日は早めのエイプリルフールだねって
びっくりしたよ!って笑うんだって
そう都合よく頭の中変換して急いで開けた玄関ドア。
でもそこに広がっていた現実は
真っ暗な世界。
物音一つしない室内。
人の気配を感じないその空間に恐る恐る足を踏み入れた。
電気をつけるとそこは宿舎を出るときと変わらない
ただあなただけがいなかった。
一足先にあなたの部屋に向かったマンネ達
切羽詰まったテヒョンアの声に向かったその部屋
部屋の中からはジミナとグギの泣き声が
テヒョンアは部屋の入り口から入れないでいた。
その部屋は家具だけが残された状態
何もない。
その言葉がぴったりな空間に様変わりしていた。
つい1週間前まで感じたあなたの温度が
全く感じられない
そんな空間に変貌していて
俺たちは絶望した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。