そうあの日から日に日に濃くなっていったあなたの気配
俺はそれが嬉しかった。
リビングでご飯食べている時に聞こえる足跡…
みんなでテレビに夢中だと拗ねるのか消されるし
開いていないけど響くあなたの部屋の扉が閉まる音
階段を降りてくる音
バラバラだった俺たちも少しずつ戻り始めた
でもまだここに寄り付かない二人…
ユンギヒョンとテヒョンア…
今日もほらジニヒョンの作るご飯の匂いにつられたのか
階段から見えない足音……
そっとその場を離れて自室に戻ると取り出した携帯
しばらく見ぬふりして避けていた親友の番号をダイヤルした
呼び出し音だけが響く
出る気配のないその番号……
切ってはかけるを繰り返し
何度目かのコール音のあと久しぶりに聞いた親友の声…
切れた携帯からは無機質な通話終了の通知音
ただ呆然とそれを聞いた
もう親友には届かないのか…
その日俺はこの上ないほどに絶望感に苛まれた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!