デビュー当時のわたしを知ってる人は
今のわたしをどう思うだろうか。
出来るだけ女という事を消していた。
あのパーカーにハーフパンツ
そしてマスク姿の私。
傍目に見れば少年に見えなくもない私。
あの姿は兄そっくりだった。
実家でも兄の身代わり
此処でも無意識に
兄の代わりにって思っていたのかもしれない。
アイドルになるって兄の夢でもあったから
兄の代わりにその夢を叶えたいと思っていたのは事実だし
それに自分を出すのが苦手というか
本当の自分が何なのかもよくわかってなかった。
それにグループ名も『防弾少年団』
名前からしてナムジャグループじゃんって。
女の私がいたらダメな気がしたというのも然り
でも誰かの代わりじゃダメなんだって
ちゃんと防弾少年団のあなたとして
此処にいなきゃいけないんだって
教えてくれた人たちがいたんだ。
あの時アレがなければ
今も私は兄の亡霊に取り憑かれていたと思う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!