第131話

Ep.117
185
2021/04/13 15:24



17時。







だんだんと大きくなる音楽。








控室で簡単に会話を交わして向かった本番








舞台袖の特等席。









車椅子に座るあなただけの特別席は








俺たちに一番近くて







一番アミボムの光が綺麗に見える場所。








始まったライブ。








アップテンポの曲にバラード







それぞれのソロ曲







その度に湧き上がる歓声。








あなたの手にあるアミボムも綺麗に光っていて







穏やかに笑っていた。








一曲一曲にARMYとあなたへの想いを乗せて








精一杯歌い踊った。








本来ならばここにいるはずのあなたの空席。








それを埋める為






それでいてあなたを感じられるよう






俺たちは必死にステージの上で舞った。






俺のソロ曲『Seesaw』






心の重さが合わなくなったシーソーゲームを終わらせたい







でも簡単には終わらせることができない様子が描かれたこの切ない曲








これはあなたの想いを歌った曲だったんだろうか。








あなたの思いは薄々気づいていて








気づかないフリをした。







それが優しさだと思っていたから。







そしてあなたは防弾少年団の為に本心を隠すつもりのようだったから







でもこんなに切ない想いをするくらいなら








『恋』ぐらいさせてやればよかったとさえ







今更思ってしまうんだからどうしようもない。













無事アンコールを迎え






アップテンポなダンスナンバーを終え







あなたへのサプライズ。








韓国のこの地で歌う日本語歌詞のこの曲。








俺たちのあなたへの想いが詰まったこの曲を送る。








歌詞の通り


















––––––––君を抱きしめたい
        消えてしまえ前に––––––––––

















テヒョン
テヒョン
あなたッッッッッ!!!!!!!!







それは突然だった。






曲のサビが始まった頃。








アンコール一曲目がダンスナンバーの為につけていたベッドマイク









それ故に拾ったテヒョンアのあなたを呼ぶ悲痛な叫びは








会場全体に響き渡った。









プリ小説オーディオドラマ