珍しく俺だけが休みだった日
あなたのところに行った。
変わらず迎えてくれるあなた。
今こんなことしてんだって
病室で歌って踊ってたら
静かにして下さいって看護師さんに怒られて
2人して顔見合わせて笑ったっけ
ちょうど3ヶ月の短いスパンで行われる
ツアーが迫っている時で
皆練習や打ち合わせで忙しくしている時期だった。
少し前まではそこにいたあなた。
少し寂しげに揺れた瞳。
思わず俺は尋ねた。
そう尋ねる俺をびっくりしたように見て
そして笑って
そう言って目を伏せたあなた。
その姿を見てすごく胸が
締め付けられそうになった。
その夜一人で待つ宿舎。
みんなが戻ってきたのは既に日付が変わった頃だった。
もし出来ることならと
みんなにお願いしたんだ。
あなたの願いをどうにかして叶えたくて
こんなことしかできないけど
あなたが笑ってくれるなら
どうだってよかった…
それが俺の望みでもあったから……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。