温泉に浸かり、洗濯された綺麗な服に着替えると、温泉の入口の前のところへ。
そこには結弦と珠璃が2人で待っていた。
みんなが揃ったところで「よし、行こうか」と結弦が口を開く。

通路のドアを開けると、そこは街中。
そして、ビルに備えてある巨大なモニターの前に何十人の生徒達がいた。
サバイバルゲームの時にも見たモニターの「進行役はモニター前に並びなさい。」という表示。
手で私達に止まるように結弦が指示をすると、珠璃と他の進行役の隣に並んだ。

「優秀な2人を残し、2人を脱落とする。」
残りの8人はどうなるのかという疑問が一瞬にして頭の中を過った。同じことを思ったのか隣にいる蓮水も不思議そうにしている。
「１位、胡蝶結弦（東京）100点」
「２位、霧雨珠璃（千葉）97点」
「11位、比嘉りみ（沖縄）54点」
「12位、津田壮介（香川）51点」
「ワースト２は失格とする。」
その文章が現れた瞬間、立っている12人の内の2人の首が爆発した。
「他の進行役の役目は終わりとする。残った進行役はゲームを開始しなさい。」
死体を無視して、珠璃と結弦がみんなの前へ。

『王国ドロケイ』
4つの国に分かれて、王様を捕まえてください。

【ルール】
・14人で1つの国とする
・基本的なルールはドロケイと変わらない
・4時間毎に捕まっている人を処刑する
・何処か1つの国の王様が死んだら終了

【注意事項】
・殺し合い有り
・タッチが有効なのは背中のみ
・外れた進行役は1回捕まれば死
・王様が死んだ国は連帯責任で全員死
・ペア制度はこの次から復活

珠璃がトランプから4種類のＫを取って、一種類ずつ私達に見せてくる。
そして、背後にある巨大モニターの画面がパッと変わったと思うと、4人の男女の生徒写真がトランプと共に映し出されていた。
それを見て、ある者は引き攣った表情に、ある者は嬉しそうな表情に、そして私は先の読めないこのゲームに不安が増す。

聞いていると数字が大きいほど強い人を入れているように見える。
でも、綾翔や煮雪君の名前は呼ばれない。
７を飛ばして名前を呼んでいき、一番最後まで言い終わった時、ようやくその意味が分かった。

4枚の７を見せて、ニヤリと笑った珠璃。
呼ばれた4人の中ではサバイバルゲームの時に私達の進行役をしていた羽柴君が同じチームにいた。
「これで全部のカードが揃ったね」と珠璃が言うと今度は結弦が手袋とベストを見せる。

結弦の言葉に見慣れた顔の4人が2人の前へ出る。
揃うと、結弦がどんどん銃を渡していく。
モニターの画面が切り替わって、私達が今いる場所を含む戦闘エリアのマップが表示。
同時に全員にモニターと同じ地図が送られてくる。
そして、ダイヤ、ハート、クラブ、スペードの4つのマークがエリアの角にそれぞれ出現。
大きな赤い点が真ん中に現れた。
恐らく、4つのマークがそれぞれの本陣、赤い点が私達の現在地なのだろう。

結弦の言葉と共に私達の体が浮いた。
それはあの時の《ニュートン》の能力を手にしていた蓮水が澪織を浮かしていたときのよう。
そして、空中でそれぞれが黄や赤や緑や青の光に包まれたと思うと、四方に散っていく。


私達は上手い具合に4つに分かれた。
ダイヤの国には巫、響、大翔君。
ハートの国には海凪、徹弥君。
クラブの国には蓮水、私、神々、綾翔。
スペードの国には澪織、陽向、夢奈ちゃん。
私のところから1人、ハートの国に行くと均等に分かれるけど、他の代表を足すとこのくらいが公平になるのだろう。


着いたのは小さなビルの屋上。
屋上の床にはクラブのマークが刻まれている。
中に入ると机のある多分、作戦会議とかに使いそうな部屋にルール説明のときに2人が話していた黒のグローブと緑のベストが置いてあった。