第40話

独りの強者
1,063
2019/11/28 16:26
巫が残していった武器と澪織が書いた地図。
あとは食料を蓮水と回収すると、陽向が治したみんなを起こして家から離れた。
取り敢えずと来たのは歩いて30分くらいの川。
確かここは私が大爆発を見る前に水を飲んでいた場所だから水質汚染の問題はないだろう。
終夜 渚紗
見つかりそう?
梵 綾翔
今、探してもらってる。さっきのスコールのせいで匂いは泥と混ざって分からないらしい。
樹神 響
簡単に探す方法を早く考えた方が良さそうだな。夢奈、神々の特徴を分かる限りで教えてくれ。
八重桜 夢奈
そうですね…彼はただの男子高校生ではないと思いますわ。全体的に身体能力が高いと言うか…私から見ていると槐さんと同じような感覚ですの。体全体で物事を感じ取っているような…
蘭 陽向
つまり、敵にしたらダルい。それだけ分かればいいんじゃないかな?
樹神 響
俺達の中で誰かを探すのに最適なのは綾翔の《シートン》くらいだから…
雅楽 海凪
先に神々ってやつの能力が何かを考えたら対策練れるかも?
終夜 渚紗
"物を消す"に関係することかぁ…
八重桜 夢奈
皆さんの能力を聞いたところ、例外もありますが科学者や数学者などの方が多いようですので、そこら辺で考えたら早いと思いますわ。
御縁 大翔
世界史とか嫌いだから無理…
樹神 響
俺が考えとくよ。
八重桜 夢奈
私も考えときますわ。
梵 綾翔
ん?
雅楽 海凪
どうしたー?
梵 綾翔
何か動物達が耳が痛いって。
終夜 渚紗
どういうこと?
梵 綾翔
さぁ…キーンって聞こえてるとか。
終夜 渚紗
何だろうね?
蓮水 黎
……なぁ、綾翔…。
梵 綾翔
何だ?
蓮水 黎
その音…どっちから聞こえてる…
梵 綾翔
え〜っと…向こうだな。
蓮水 黎
ちょっと行ってみよう…
梵君が手を鳴らすと近くからオウムが顔を出す。
そして、さっきのヒョウのように私達がついてきているかを見ながら飛んで行く。
歩いて少しすると、いきなり夢奈ちゃんが表情を顰めて耳を塞いだ。
御縁 大翔
大丈夫?
八重桜 夢奈
いや…ちょっと耳鳴りみたいのがうるさいですわ…
雅楽 海凪
ワンチャン、2人のどっちかが伝えてるんじゃない?
終夜 渚紗
逆に考えると一青さん達が私を誘き寄せるための罠かも。
梵 綾翔
それは無い。あのグループの能力は《卑弥呼》《フランクリン》《ファーブル》《フラメル》だから、内容的に耳鳴りを起こすのはない。
蓮水 黎
全員分、知ってるのか…
梵 綾翔
ああ、《卑弥呼》は天候操作、《フランクリン》は放電、《ファーブル》は昆虫を操る、《フラメル》は錬金術。
樹神 響
じゃあ、あれは《フラメル》か。
八重桜 夢奈
それなら、この耳鳴りは神々君か槐さんの能力ということになりますね。
終夜 渚紗
早く行こう。
オウムのスピードを上げて、走りついて行く。
すると、辿り着いたのは見たことない洞窟。
山みたいのは1つ見えた。ここはその山の崖の部分だが、その洞窟の壁は"自然と出来た"とか"人工的に掘られた"とかじゃない。
"空間が抉られたように消えた"ように見える。
着いたところでオウムが耐えれないのか、大声で鳴いて飛び去って行く。
御縁 大翔
入る?
樹神 響
行くに決まってる。
終夜 渚紗
よし、じゃあ ───
私が口を開いた瞬間、洞窟の壁にヒビが入った。
空気の振動がここまで伝わって、ビリビリとした感覚が体を震わせる。
動かそうとした足を止めた途端、中から少し小さいけど2人の声が聞こえた。
巫 悠真
馬鹿にしたらいけない。
槐 澪織
Я могу убить тебя легко
蓮水 黎
アイツら、殺す気だ…
蘭 陽向
おい!黎!
少し慌てた蓮水が洞窟内に走って中に入って、私達が追いかけようとたところで入口は崩れた。
大きな岩が行く手を阻んで、入れない。
どうにかしてこの岩を壊すか、それとも他にやるべきことがあるか…
雅楽 海凪
他のチームが来ないかを見とこーよ。
樹神 響
ああ、あの3人ならどうにかなる。
終夜 渚紗
だね…
山を囲うように私達は散らばる。
でも、何も戦っているような音はなく静かでとにかく蒸し暑いだけだ。
私は川で靴を脱ぎ、足を水につけて涼んでいた。
大丈夫だといいけど、もしもあの3人が死んだりしたら、一青さんのチームと神々君と私達だけになる。
そうなれば、生き残るのは困難。
梵君がこっちに来た時点で一青さん達にとって私達は敵にしか見えないだろう。
終夜 渚紗
どうにかしないとな…
男子
おー、お前。銀髪と長髪の仲間?
終夜 渚紗
うわっ!!
木の上からぴょんっと飛び降り、川に着地した1人の男子はズボン以外は何も着ておらず勿論裸足。
わしゃわしゃと髪を掻きながら、大きく欠伸をしている。私はその顔に見覚えがあった。
夢奈ちゃんが言っていた強いというのは鍛えられた筋肉で十分に伝わるし、目には闘志が見える。
終夜 渚紗
神々竜二……
神々 竜二
知ってた?まぁ、いいか。聞きたいことあるんだけどあの銀髪、何。
終夜 渚紗
銀髪って澪織?
神々 竜二
あの銀髪は澪織ってのか。じゃあ、長髪の男は何。
終夜 渚紗
蓮水。
神々 竜二
下は?
終夜 渚紗
黎。
神々 竜二
蓮水黎?
終夜 渚紗
そうだけど…
神々 竜二
澪織と黎か…アイツら面白いな。
終夜 渚紗
そう…
神々 竜二
ここでお前を倒したらさらに本気になるアイツらが見れるかも?
くっくと喉を鳴らして、私を見た神々。
目から冗談という雰囲気は取れず、こいつは本気で私をここで殺そうとしている。
私は即座に能力を発動させて、川から出ると陸地に移動する。
そして、再び元の時の流れに戻った時…私がさっきまでいた場所の川が抉られて地中が見えている。
私はそれを見て固まるが、神々は陸地に移動した私を見て驚いたような楽しそうな表情をしていた…
終夜 渚紗
え、何これ……
神々 竜二
あれ?生きてんの?瞬間移動的な?

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