そう見張りの綾翔から連絡が来たのは、王国ドロケイ開始から10分後だった。
蓮水を見ると通じたのか「グローブを外すように」とだけ言い、私はその通りに綾翔に伝える。
そして、少しして広い部屋に黄色のベストを着ている人達が入って来る。
思いっきり指されて苦笑いを浮かべる神々。
でも、それはそれでアリかもしれない。
強いとは言え、Kである杜若君や蓮水を前線に立たせる訳にいかないし、4時間が経つギリギリに攻めるなら最低限の犠牲にしないと。
……と、そんな話。
しっかりと夢で見えちゃってるんだよね〜。
4時間のギリに来るとは、向こうのQは人を殺す気満々だし、ダイヤのKとクラブのJも危なめ…
椅子で居眠りしていたところを翔平君に起こされて僕はスペードの国が待つ応接室に向かった。
スペードの人の目にはどんな想いが映っているのかちょっと楽しみかも。
特にKの澪織ちゃんと集まった途端から周りの参加者の観察をしていたQの子…
翔平君とドアを開けると、KとQの子と目が合う。
どうやら、他のメンバーはこの応接室とは違う場所で待機させているみたい。
2人ともいい目してるなぁ…
陽向君は自分の与えられた場から逃げ出さないっていう責任感が強い…こっちだと徹弥君に似ているタイプの子か〜…体つきもよくて見た目からしてどちらかと言うと真面目…
澪織ちゃんは徹弥君の言う通り…服で腕までは見えないし、見えている胴や脚はパッと見普通だけど、筋肉が凄い…きっと腕もこのくらいはあるね…表情は笑ってるけど、目には何かへの復讐心かぁ……
2人とも普通に接しているけど、警戒してる。
僕は大抵弱そうって見られるのが普通なんだけど、Kならそれなりの力があるというところからの警戒かな。うん、そういうのいいね。
その目の復讐心は杜若君に向けられてるのか…
そう言えば、夢で杜若君は杜若君で澪織ちゃんのことを恨んでいたっけ…。杜若君は確か小学校と中学の間は紛争地域に住んで戦ってたらしいし、澪織ちゃんはどう見ても日本人じゃないからもしかしたらその戦争中に……
あとは黎君…僕、絶対に恨まれてるんだろうなぁ…
僕と君、1回も意見が合ったことないもんね…
澪織ちゃんは笑っているけど、目は笑っていない。
確かに翔平君の言う通り、Jの能力はKを止めるための能力と言っても過言ではない…。
僕だってこんな変な予知夢のせいで最悪の事態を招いたことあるし…。澪織ちゃんの様子からも同じくらいの酷いことがあっただろう。
黎君は例の事があってあんな風になったし、杜若君は元軍隊所属なら人が死んだって内容が多いんじゃないかな……
八重桜と言えばあの八重桜財閥ねぇ…
高飛車にならない子…小柄だけど目にはいい気合がこもってる…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。