第24話

ロシアンルーレット
1,393
2019/06/02 11:38
???
はぁい!こんにちは!
部屋のドアが勝手に閉まり、鍵がかかる。
声がした方を見ると、拳銃が置かれている机の横に長い黒髪をポニーテールにした水色の瞳の少女がとても良い笑顔で立っていた。
???
あたしが見てるのは別室でこれはホログラムだけど勘弁して、結弦と他のミッションも回さないといけないから!
蘭 陽向
……なんて呼んだらいいかな?
霧雨 珠璃
霧雨きりさめ珠璃じゅり 。好きなように呼んでもらえたら結構!さぁて、君達の為にもさっさとこの部屋のミッションを説明したいけど準備はいい?
男子
ああ。
霧雨 珠璃
ロシアンルーレット、分かる?
終夜 渚紗
本当の1発を避ける運試しでしょ?
霧雨 珠璃
そ!この部屋ではロシアンルーレットをしてもらうよ!そこにある銃でね。じゃ、そこの壁見て?
『ロシアンルーレット』
当たりを避けて、生き残れ!

【ルール】
・6発中1発が本物。
・1人が死んだら終わり!
・順番は自由ね。
・あ、一周したら最初から!

【注意事項】
・頭に銃を突きつけて撃つこと。
・逃げ出すのは失格と見なすから気を付けて。
・例え同じチームでも自分以外を撃つのも失格!
なんて雑なルール説明なことで……
ルール説明が話し言葉で書かれていたことに驚く。
大雑把そうに見えたが、見たままだった。
まぁ、要は当たりを引かなければいいだけだ。
特に問題点はない。運だけなら自信がある。
霧雨 珠璃
見たかな?見たなら、さっさと順番を決めて始めちゃって!
終夜 渚紗
順番は私達、相手チーム、私達…みたいに規則はある?
霧雨 珠璃
なし!好きなようにどーぞ!
終夜 渚紗
って、ことだけど…どうします?
男子
ジャンケンで負けた順にしようぜ。そんなよく考えても分からないし…
蘭 陽向
うん、それがいいと思う。
相手チームの意見でジャンケンで決めることに。
その結果、順番は相手チーム2人の後に陽向、私の順に決定した。
つまり、私が1番当たる可能性が高いってことだ。
正直に言うと嫌だが決まってしまったからしょうがないと諦めることに。
男子
じゃ、俺から…
霧雨 珠璃
確率、6分の1。
震えた手で拳銃を手に取った男子が目を閉じて眉間にピタリとくっつけた。
そして、躊躇なくその引き金を引く。
カチリ…
男子
……生きてる…。ほら、次。
男子
お、おう…。
霧雨 珠璃
確率、5分の1。
蘭 陽向
……。
終夜 渚紗
……。
私まで来たら確率は3分の1…。
結構、高いな…。
心の中で早く撃たれろと願ったがその願いは届くことなくカチリとだけ音がした。
相手チームは完全に安心したのか陽向に拳銃を手渡して今度は当たるように祈り始める。
陽向はもう覚悟を決めていたのかすっと側頭部に拳銃を押し付ける。
霧雨 珠璃
確率、4分の1。
蘭 陽向
頼む…。
陽向が引き金を引こうとした時、私の首が一気に軽くなった。
軽なったと思うと今度は陽向が「うっ…」と小さく呟いたと思うと目をぱちくりとさせて拳銃を持つ手を見ていた。
私はまさかと思い、拳銃に手を伸ばす。
すると、布の感触がしてそれを引っ張るとクロが陽向の腕にしがみついて人差し指を握っていた。
男子
は?な、何だよ、そいつ…
男子
見た目、ドラゴンじゃね…?
終夜 渚紗
…もしかして、このままだとハズレってことなの?
クロ
キュイ!
首を必死に縦に動かして肯定の意思を見せるクロ。
その行動に陽向が驚いた顔をした。
私はクロを透明マントごと抱えると陽向がシリンダーを1発分ズラし、側頭部へ。
小さく息を吐いて引き金を引くと、カチリと金属の音だけが鳴った。
蘭 陽向
危なっ…
終夜 渚紗
クロ、ありがとう…
蘭 陽向
次、渚紗。
終夜 渚紗
うん。
霧雨 珠璃
確率、3分の1。ここで外せば群馬チームのどちらかの死亡が決定だね。
終夜 渚紗
私は死なないよ。
霧雨 珠璃
何で?
終夜 渚紗
運に恵まれてるから。
陽向から受け取った銃に一瞬だけ視線を移すと、私は片腕でクロを抱いたまま躊躇なく口を開けて脳天に向かって引き金を聞いた。
カチリと金属音、やはり私は運がいいらしい。
「素晴らしい!」と珠璃が楽しそうに手を叩く。
私は微笑んで相手チームに拳銃を渡した。
自分に回ってくると思わなかったのか表情は引き攣り、額には汗が滲んでいる。
霧雨 珠璃
確率、2分の1。
男子
俺はこんなところで死ぬか…っ!!
さっきよりも分かりやすく手が震えている。
そんな彼はさっきと同じポーズで引き金を恐る恐る引いた。
カチリ、と金属音が鳴る。
その瞬間、彼は拳銃を投げ出して喜ぶ。
それ比べると残った男子は床に落ちた拳銃を見て、絶望の表情を浮かべて座り込んだ。
男子
よっしゃぁぁぁ!!!
霧雨 珠璃
残念だったね。確率、1分の1。
男子
……ふっ、あははははははっ!!!
突然、自分の眉間に拳銃を当て笑いだした男子。
すると、蔑むような目でペアの男子を見た。
勝ち誇った笑みを浮かべる男子にはもう死なないという余裕がある表情。だが、いきなり笑いだしたのが気になってるのか少し表情は引き攣っている。
男子
なぁ、誠也…。お前は最初のペアで選んだ千夏ちゃんのことが好きとか言ってたよな…。
男子
そ、それが何だよ。
男子
ほんとお幸せに。
バァンッ!!!!
倒れたのは誠也と呼ばれた男子だった。
心臓部から血が流れ、崩れるように倒れる。
撃った男子はニヤニヤと笑いながら誠也君を見下ろしていた。
男子
まぁ、幸せになるのは天国か地獄か、死後の世界だけどな。…あ、お前が死んだことによって千夏ちゃんが死ぬんだし幸せになんかなれないか。ある意味、恨まれるかも。
男子
颯太…てめぇ…!
男子
どうせ死ぬ運命。來羽が犠牲になるのは心から痛ましいことだよ。彼女は誰にでも優しい最高な人だから。お前みたいな人の不幸を笑うやつとは大違いだ。
そう言うと、颯太と呼ばれた男子は立ち上がって、死んでいく誠也君を全く見ず珠璃の前に立ち、拳銃を机の上に戻した。
ずっと私と陽向は誠也君のことを見ていたが、誠也君はとても悔しそうに涙を流しながら、「千夏、ごめん。」と何度も呟きながら息を引き取った。
男子
もういいよ、殺して。
霧雨 珠璃
じゃ、お言葉に甘えて。
その瞬間、100tと書かれた大きな石みたいな岩みたいなものが颯太君の頭上に現れた。
重力に従い下に落下した石は容赦なく颯太君を押し潰して石を中心に赤い花が咲く。
珠璃は死亡を確認したのか、奥の鍵を開けた。
霧雨 珠璃
流石、東京代表!お見事だよ。そんな2人に脱出のヒントをあげる!
終夜 渚紗
ただの迷路じゃないの?
霧雨 珠璃
ただの迷路だよ!ゴールまでの道は何パターンかあるんだ!でね、そのどれにも共通するのがこのミッション部屋を3ヶ所通ると言うこと。今ので1つだからあと2つ通ればゴールは近付くはずさ。じゃ、この後も頑張って行ってらっしゃい!
そう言って、珠璃は消えた。
あと2回もこんなミッションをやれって酷い。
そんなことを思いながら、陽向を見て私は奥の扉を開けた。
入る前と同じような白い壁が両側にそびえ立つ。
蘭 陽向
あと2ヶ所…。さっさと終わらそう。
終夜 渚紗
もちろん。
そう声をかけ合うと私は先へ向かった。

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