第8話

第3区間〈柔軟性〉
1,847
2019/03/12 11:32
蓮水 黎
終夜、おつかれ。
終夜 渚紗
ありがと。
蓮水に声をかけられ、返事をする。
どうやら、蓮水は私と話すのは大丈夫みたいだから多分、人見知りとかだろう。


それにしても…柔軟性の障害物って何だろう。
スタスタと早歩きで歩いて行く巫のペースに合わせて歩く私達。
すると、見えたのはロッククライミングのような壁で、壁には大量の剣が突き出ている。
壁からはいくつかの棒が出ていて、その近くだけ剣の長さが短い。
巫 悠真
これをうんていとか登り棒の要素で上まで登れ、ねぇ。
樹神 響
一部、剣が長くないか?
巫 悠真
剣の間にも足場はあるから、それも利用したいけど…距離が広い。
氷室 碧羽
でも、行かないと時間が…
巫 悠真
まぁ、頑張ってみよーか。
靴を脱いで、壁の足場を踏み台にすると、巫は登り棒に飛びついた。
そして、そのままスルスルと登っていく。
スグに上まで着いたが、安全な床までは剣の間にある足場を越えないといけない。
巫 悠真
…1…2…3…4……5!
片手で足場を声に出しながら数える。
そして、片足の指と指の間で登り棒に掴まると、手を伸ばして足場を掴んだ。
東雲 洸平
お〜、凄ぇ。あの距離、届くんだ。
聖 瑠奈
でも、あの後はどうするのかな…?足を離したら腕に剣が刺さってもし、そのまま下に落ちちゃったりしたら…
日月 和紀
ちょっ、不吉なこと言わないで!
終夜 渚紗
響。
樹神 響
何だ?
終夜 渚紗
あの後、どうすると思う?
樹神 響
巫なら…足場を掴んだ手を支えに足を振り上げて、次の足場に乗る。
終夜 渚紗
え、普通に落ちない?
樹神 響
そのための柔軟性だろ。
響にそう言われ、巫を改めて見る。
すると、響の予想通りに足を振り上げて次の足場に足を乗せた。
今度は腕に力を込めて、体を起こすとジャンプしてどんどん足場に乗り移っていった。
樹神 響
な?
終夜 渚紗
ほんとだ…
無傷で最初をクリアした巫は先へと進んだ。
次に待ち構えていたのは…
巫 悠真
何か映画で見るやつ…
薄暗い通路に沢山の緑色の線が見える。
通路の手前の壁にはちゃんと説明が書いてあった。
「レーザーに触れる度に射撃されます。何処に着弾するかは分かりません。ハードモードに入ると、レーザーの数が2倍になります。」
柔軟性を1番使いそうな障害物。
撃たれれば、きっと動きにくいから他のレーザーにも当たるだろう。
もしそうなると、生きたままクリアする可能性は確実に低くなる。
巫 悠真
う〜ん…ハードモードまであと何分?
聖 瑠奈
えっと…あと8分だよ!
巫 悠真
りょうか〜い。
廊下を覗き込み、銃口の位置を確認する。
そして、何ヶ所か床を指しながら、ぶつぶつと独り言を呟きながら巫は考え込む。やがて…
巫 悠真
おしっ!出来るか分からないけど、とりあえずやってみよう!
前に乗りでた巫が緑色の線を避け、スルスルと前に進んでいく。
バク転だったり、しゃがんだ状態でジャンプしたり上手に進んでいく姿は本当に映画で見るスパイのようだ。
氷室 碧羽
お〜!かっこいい〜!!
日月 和紀
あとちょっとだよ!
巫 悠真
はいは〜い!!
すると、まさかの巫は立ち上がって、走り出した。
もちろん、レーザーに当たって緑色のレーザーが赤色に変わる。
赤に変わったその瞬間、発砲音が鳴った。
その後も何発も発砲音が続き何発か掠っているが、そのスリルを楽しむような笑顔で交代地点へと走って行く。
巫 悠真
あははっ!たっのし〜!碧羽ちゃん!次、頼んだよ!
氷室 碧羽
おけ!
頬から血を流した巫が笑って交代地点に着くと、碧羽ちゃんにハイタッチをした。
第3区間〈柔軟性〉巫 悠真 クリア

第4区間〈水〉氷室 碧羽

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