乗船したあと運転席を見ると、海凪は運転出来ることが嬉しかったのかご機嫌な様子だった。
また、船の中にも部屋がいくつかあり、ゲーム会場まではあまり苦労しないでいけそう。
今、私は瑠奈ちゃんとバスから持ってきた物を部屋に運んで一息ついたところ。
あぁ、そういうことか…。
1番最初のゲームでみんなの情報を当てまくったから瑠奈ちゃんと東雲君には私はヤバい人に見えていたんだっけ…
思い出すだけで恥ずかしくて、私は両手で顔を合わせないように隠した。
すると、瑠奈ちゃんは何かが面白かったのかクスクスと少しだけ笑っている。
何とも言えなくて、でも少しだけ面白くて、私まで笑ってしまう。
いつの間にか私達の後ろに立ち、少し不満げな表情をしている東雲君がそこにいた。
悪口じゃないと必死に弁解しようとする瑠奈ちゃんに対して大きな溜息をつくと…
バァンッ!!!
金属で出来た何かが落ちた音がして、私達の視線は音がした奥にある部屋に向いていた。
海凪は運転席、巫は船酔いで看板に看護している響と一緒にいる。そして、蓮水と蘭君は眠いと言って休むと言っていたから多分、手前の部屋にいる。
だって、奥の部屋はバスから持ってきた物を置いてある倉庫になっているから。
瑠奈ちゃんは状況を伝えるために海凪の元へ。
私は東雲君と音の原因を探るために、倉庫となっている奥の部屋に向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!