第16話

船内に潜む何か
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2021/02/17 06:24
終夜 渚紗
この船、意外と広いね。
聖 瑠奈
だね〜
乗船したあと運転席を見ると、海凪は運転出来ることが嬉しかったのかご機嫌な様子だった。
また、船の中にも部屋がいくつかあり、ゲーム会場まではあまり苦労しないでいけそう。
今、私は瑠奈ちゃんとバスから持ってきた物を部屋に運んで一息ついたところ。
聖 瑠奈
あのさ、渚紗ちゃんはこのゲーム怖いって思わないの…?
終夜 渚紗
凄い怖いよ?
聖 瑠奈
え?
あぁ、そういうことか…。
1番最初のゲームでみんなの情報を当てまくったから瑠奈ちゃんと東雲君には私はヤバい人に見えていたんだっけ…
終夜 渚紗
凄い怖いけどね…負けたら死ぬんだと思うと、怖いだの言ってる場合じゃないって思ったの。やっぱり、パートナーである蓮水の命もあるからそう簡単には負けたくない。
聖 瑠奈
そっか…最初ね、渚紗ちゃんが情報を凄い当ててるのを見て、この人には心が無いのかって正直思っちゃった…。
終夜 渚紗
そうだったんだ…。でも、安心して?全然そんなヤバい人じゃないから。ただ…自分の命が欲しいだけなの。
聖 瑠奈
うん!あの障害物競走で渚紗ちゃんは凄い人だと思った!私はあんな風に皆の前で服を抜くのは恥ずかしいが勝って絶対に出来ないもん!
終夜 渚紗
ちょっと、それを大声で言うのは…
思い出すだけで恥ずかしくて、私は両手で顔を合わせないように隠した。
すると、瑠奈ちゃんは何かが面白かったのかクスクスと少しだけ笑っている。
何とも言えなくて、でも少しだけ面白くて、私まで笑ってしまう。
聖 瑠奈
そう言えば、渚紗ちゃんのパートナーさんはいつもあんな感じなの?
終夜 渚紗
う〜ん…蓮水とはほぼ喋ったことないけど、人見知りって感じはするね。
聖 瑠奈
喋ったことない人をパートナーに!?
終夜 渚紗
他の人達、全員嫌いだから。
聖 瑠奈
じゃあ、消去法で?
終夜 渚紗
そんな感じかな。瑠奈ちゃんは?
聖 瑠奈
私は〜…選ばれた側だから、正直分からないんだよね〜。洸平君の考えてることってイマイチ分からないし…
東雲 洸平
何だよ。俺の悪口?
聖 瑠奈
いや、そうじゃないけど、ほんとよく分からないって言うか………えっ!?いつからいたの!?
終夜 渚紗
全然、気が付かなかった…。
いつの間にか私達の後ろに立ち、少し不満げな表情をしている東雲君がそこにいた。
悪口じゃないと必死に弁解しようとする瑠奈ちゃんに対して大きな溜息をつくと…
東雲 洸平
あれだな。「私はあんな風に皆の前で服を…」ってとこから。
終夜 渚紗
それ、聞いてたの!?
東雲 洸平
まぁ。でも、別にいいんじゃない?そんな下着姿見られる見られないで、命があるかないか変わるなら。
聖 瑠奈
言葉を考えてよ!そういうことを女子に向かって言うのは良くないよ?
東雲 洸平
分かった分かった。
聖 瑠奈
いつも洸平君はそうやって人の ──
バァンッ!!!
終夜 渚紗
…何?
金属で出来た何かが落ちた音がして、私達の視線は音がした奥にある部屋に向いていた。
海凪は運転席、巫は船酔いで看板に看護している響と一緒にいる。そして、蓮水と蘭君は眠いと言って休むと言っていたから多分、手前の部屋にいる。
だって、奥の部屋はバスから持ってきた物を置いてある倉庫になっているから。
東雲 洸平
俺達じゃねぇのは確かだ。他の奴ら、全員他の場所だし。
聖 瑠奈
だよね。だとしたら何だろう…
東雲 洸平
行ってみるか?
終夜 渚紗
安全の為にも行ってみよう。
聖 瑠奈
こ、怖いしパスでもいいかな…?
終夜 渚紗
うん。無理しないで大丈夫。東雲君はどうする?
東雲 洸平
俺は行く。
終夜 渚紗
よし、行こう。
瑠奈ちゃんは状況を伝えるために海凪の元へ。
私は東雲君と音の原因を探るために、倉庫となっている奥の部屋に向かった。

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