ー ♦ダイヤの国♦ ー
集まって他の国を潰すかと話し始めた時、何処かと同盟を組もうと口を開いたのはQの巫悠真。
確か、胡蝶と霧雨と来た奴らだから関東か中部の代表の1人だ。その隣にいるのはJの樹神響。
で、Aは御縁大翔…取り敢えず、あの進行役が言っていたチートの可能性は関東中部の奴ら。
元仲間のことを指されてあまりいい気分じゃないのか、少し不満そうな表情をする。
だが、そんなの俺には関係ない。
いくら君達が仲良くしていたとしても、俺の恨みの方が断然上回るだろう。
絶対に身を滅ぼそうがスペードは殺してやる……。
ー ♥ハートの国♥ ー
僕達はまず自己紹介をしていた。
だって、みんなが知り合わないと信じ合うことなんて無理だもんね。
このメンバーだったらきっといい夢見れるかな?
そんなことを思うだけで時間は過ぎて、Aまで自己紹介が終わる。
その時、一瞬ウトウトしてしまい寝たら真っ暗になる筈の視界に2つの国が見えた。
多分、王様の顔を見た感じだとダイヤとクラブ?
これは…同盟を組んでいるところ?
つまり〜…仮に3対1になったとしても、負ける可能性があるってことだよねぇ…
スグに夢として見れたらいいけど何か目ぇ覚めた…
Qは千賀翔平君…常に正しい選択を選ぼうとする現実主義者…間違ったことは嫌いって感じ〜?
Jは雅楽海凪ちゃん…女の子だけど、見てる限りだと腕と足の筋肉が発達…何かしら親が力仕事をしててその手伝いとかかなぁ…
Aは煮雪徹弥君…相手を尊重して、初対面の人には礼儀正しくっていい性格してる〜。で、右肩と左腕の発達から弓道部だったり?
何がともかく百軒は一見にしかずって言うから、その澪織ちゃんに会ってみたいかな…
まぁ、このチームならきっと勝てそう…
ー ♣クラブの国♣ ー
正直、蓮水に知り合いとかいたんだ…
小学校とか中学校の間でも今までみたいにずっと一人で本とか読んでそうなイメージある…
窓から入って来た黒猫のうなじを神々が掴んだところで私は神々からその猫を奪った。
見慣れない黄色い首輪に挟まっている紙を抜き取り広げるとそれは手紙だった。
クラブの国へ
俺はダイヤの国のK、杜若冴祐と言う。
ダイヤの国と同盟を組んで欲しい。
生き残るための最善の策を探して、君達の国と同盟を組むのが良いというのが悠真と響の意見で俺達は同盟を希望する。
無理に結べとは言わない、あくまで希望だ。
もし、結ぶのであればゲーム開始と同時にどちらかの本陣に集まれたらと思っている。
結ぶとなれば裏切る気は微塵も無い。
返答を頼む。
ダイヤの国より
私は蓮水の指示で手紙を書くと、ライの首輪に挟んで窓から出した。
クロは相変わらず私のフードの中にいるけど、いざとなったら大きな戦力にもなる。
これで同盟が上手くいけば、海凪達か澪織達が死ぬことになるけど…自分の命には変えれない。
どう転がるんだろう……。
ー ♠スペードの国♠ ー
海凪からの突然の電話に溜息を零した陽向。
電話に取ると誰?とか私の名前とか出てくるから、きっと何か聞きたいことがあるのかな?
私が話したら早いんだろうけど、人の電話を横取る訳にはいかないしね。そう思っていると、陽向がいきなり私に電話を差し出してきた。
杜若冴祐は私をきっと恨んでいる。
でも、私はそれ以上にアイツを憎んでいる。
響達には申し訳ないけど、アイツは死ぬ人間だ。
あの時は逃がしたけど、今回でとどめを刺す。
渚紗達が敵なのは残念だけど、私にはアイツが死なないと気が済まない。
ピーーーーーーーーッ!!!!!
鳴り響いた開始ブザーに私は席を立つ。
ダイヤとクラブが同盟を組むのならちょうどいい。
総当りじゃなくて2対2の戦い。
絶対にハートとスペードの私達が勝ってやる。
「大当たり」と笑う珠璃に溜息を零す。
正直に言って、渚紗がこの21ゲームに巻き込まれていたとは思っていなかった。
頬の傷の記憶も蘇るけど、あの火事の中に真っ先に飛び込んだ渚紗を考えると自然と痛くない。
最後までクリアして欲しいと本気で思う。
俺が大切にしたい数少ない友達だから。
珠璃はふざけた性格をしているが、それなりの知能は持っている。大迷宮のミッションで担当した毒水だって説明は酷いが内容としては上出来。
何を考えているのかはイマイチ分からないけど。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!