第43話

構わないで 2
12
2019/07/12 09:31
相川 そら
ひまだなあ......
誰にも聞こえないように、とても小さな声でそうつぶやいてみる。




もちろん、返事は返ってこない。

というか、返ってきたらこわい。





だって、この部屋に今私しか居ないもん。



壁の時計を見てみると、お昼を少し過ぎたくらい。

友達は今頃授業を受けてるんだろーな。


あ、でも今って多分、数学なんだったっけ。



じゃあ逆にいいかも。

私が......私が............、受けたくない授業だから。



なんで受けたくないかは......分かんないけど......。










──ピロンッ



ふと聞きなれた通知音が聞こえた。

みると、私のスマホの画面に、チャットが来たことの通知が
表示されていた。


スマホを手に取り、画面をタップしてチャット画面に移動。

......友達からだった。





何気なにげない内容のそれに、思わず笑みが零れる。





また学校でスマホ触ってるじゃん。

怒られないのかな?



そんなことを思ってしまうけど、こうしてやり取りしてくれるのは嬉しい。





返事を返すと、ものの数秒で向こうからの返信が。

負けじとこちらも早めに返す。









──なんてことをしているうちに、いつの間にか数分が経っているんだよね。



友達と話す時はたいていそう。

次々言葉がでてきてしまうし、話をやめたくないし。


特に、今は。













「小テストだから1回抜けるねー」






友達からのそれを受け取り、返信すると、物足りない気分の
まま画面を閉じた。


相川 そら
はあ......

小さく吐き出した息から遠ざかるように、後ろへ倒れる。


相変わらず真っ白なベットが、私を静かに受け止めてくれた。
































──そのままぼーっとしているうちに寝てしまっていたみたいで。

目が覚めると、部屋の中は薄暗かった。



体を起こした瞬間、バチッという音とともに、目の前が一瞬
真っ白になった。

が、すぐに目が慣れてきて、それが電気をつけたせいだと
分かった。

入口付近に看護師さんが立っていたから。

相川 そら
こ、こんばんは......
看護師
こんばんは、相川さん。
もしかして寝てましたか?
相川 そら
あ、はい。......すみません
看護師
ああ、いえいえ、大丈夫ですよ。
ここに居てもすること無いですしね
さすがに「はい」とは言えず苦笑いで返す。
看護師
あ、そうそう。
相川さんと面接したいって人が居るの
相川 そら
......誰......ですか?
看護師
んー、男の子みたいですよ。
誰か思いつきます?
相川 そら
男の子......
男の子かあ......。

思いつくっていっても1人しか居ないんだけど。
相川 そら
多分、いとこだと思います
看護師
あ、そうなんですか?
じゃあ、面接されます?
相川 そら
はい、お願いします

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