今回は渉視点です
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――そらの体重が、何故か俺のほうにかかっている。
しかもなんか、顔赤い気がするんだけど......。
気のせい、なのか......?
そら......相手が誰なのかちゃんと分かってんのかな。
あくまでも、"いとこ"だけど?
まさか、誰かと勘違いしてるとか。
いや、ないか。
そういうの、鈍いしな、こいつ。
それに、俺以外にまともに話せる奴なんていたっけ。
小学生の頃の奴らはまず違うし......。
塾......あ、個別じゃん。
それに今は中高一貫の女子校だったよな......。
うん、やっぱいないな。
とりあえず勘違い説はない、として。
......この状況は、マズくないか?
受付の看護師、なんか微笑ましそ〜うにこっち見てるし......。
声をかけた相手であるそらはと言うと。
......おい、俯いたままフリーズするな。
さっきからずっとこんな感じだ。
彼女のことだし、多分考え事でもしてるんだろうけど。
でもさ、今しなくていいと思うんだよな......。
それにしても、なんか見てる奴増えてない?
なんか、嫌だな......。
そらはおそらく状況とか何も分かってないと思うけど。
まったく......。
はあ......。
......可愛い。
腕にその赤くなった顔を埋めないでくれ......。
............ってここまでくると、さすがに展開についていけない
方がいらっしゃると思うので、説明します。
俺......渉、とそらは戸籍上のみいとこという関係。
本当はいとこじゃないけど。
それは後で詳しく説明できると思います。
そして、それを知っているのは俺と......
そらの姉であるせら、
そして両方の親。
だから、そらは俺と血が繋がってないことを知らない。
そして、俺がそらを好きになってもおかしくないというわけ。
逆にそらが俺を好きになるパターンもあるけどしれないけど。
いや、ないか。
多分そらも――。
まあそれはいいとして......俺は結局のところ、
彼女に恋をしている。
なので、個人的に色々考えてしまうんです。
可愛い、とか......そういう、ことを。
というわけで、俺は別に変態とかじゃないので。
義母的な存在である柚香さんが、俺とそらを一緒に行かせた
のは多分、護衛的な意味であってる。
......俺の気持ちには、気づいてない。
と、そう思いたい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。