第32話

"□□ □□"について 2
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2019/02/18 09:11
あなたと話す時は大抵、辞書を使っていた。









私は、ほとんどの感情を忘れたフリをしなければいけなかったから。









わざわざ付箋ふせんを貼って、本当に忘れたみたいにしてた。









私の演技は、








あなたには気づかれてなかったみたいだね。








あなたの演技は、演じてることがバレバレだったよ。








素直になったり、昔に戻ったりする時は、関西弁が抜けるクセ。








私がわざと"あの人"の話をした時には、いつも、少しだけ顔をしかめてる。








きっと、私がこうなったのは"あの人"のせいだと、疑ってるんだろうな。







──まだ。








まだ、あなたには、本当のことは話せない。








先生から許可をもらっていないから。








でも多分、もうすぐ、許してくれる。








だから。









今は私の下手の笑顔も許してほしいな。









笑顔だけは、私も作ってしまうから。










だから。










だから、だから。









今は、今だけは、私と先生を許してね────。

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