第17話

触れられなかったんだ 3-渉viewp
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2019/01/10 12:30
悠斗と別れ、ロビーの方へと向かっていくと、そこのソファに
座るそらの姿が見えた。


もう終わってたのか。

意外と早いな。



......それにしても、なんか浮かない顔してる。

暗いからそう見えるのか?



確かめようがないので、俺はとりあえずそらの隣まで行くこと
にする。

森崎 渉
......そら。早かったんだね
驚いたように肩を揺らしたそらは、こちらを向き、はにかむ。
相川 そら
......わたるか。そっちは結構かかったんだね

暗いから表情が曇って見えたと思ってたけど、そうでは
なかったらしい。

少し元気がない感じがする。



......どうしたんだろ。

眠いとか?w




......なんとなく目がとろんとしているのも、
つい可愛いと思ってしまう......。

ダメだダメだ、普通にしろ。


平静に。





......気づかれたら、ダメなのだから。







この関係に気づかれたら、今までの努力が全てパアだ。








せらとの約束も。





森崎 渉
......あれ、何持ってるの?
相川 そら
え、ああ......薬、だよ。
さっきもらってきた
森崎 渉
......そっか

そらは袋に記載された文字を隠すように手を置いている。

だからさすがに病名とかは分からないし、聞くつもりもない
けど、

多分、そらもあの病気なんだ。

だから自分もそうなるんじゃないか、と不安になってるん
だろうな。














そらも、か。









............そういえば、


"せらが患ってしまったのだから、そらも同じようになって
しまってもおかしくない"



あいつが......悠斗が、帰り際にそう言っていた。




双子が1番遺伝しやすいことは、もうネット上に上がって
いる。

だから俺だって分かってたけど......やっぱり、現実を直視
するのは苦手だ............。




相川 そら
......渉?どうしたの?
てかはやく帰らない?疲れたんだけど......


......この表情を見れるのも、もう少ないのか。



ドラマとかで聞いてたりした言葉だけど、自分がそれを考える
のは、考えてしまう立場になったのは、怖い。















また、忘れられる?




......嫌われる?








............《嫌だ。》

森崎 渉
......うん、そうだね、帰ろっか






そらがもしあの病気なら、俺を忘れるのは、
嫌うのはすぐだろう。



あの病気は、身近な存在の記憶をすぐに奪う。







《やめてくれ、本当に。もう、これ以上は。》







......いつかそうなるなら、この子を最期まで思えるように、
しよう。







《......自分がそれに耐えられると思ってるのか?》







......せらのためにも、悠斗のためにも、だ。







《自分のためじゃないのか?》






《あの子のためじゃないのか?》





......もちろん、そうだ、そうなんだよ。



























《......お前はやっぱり、嘘つきだな。》

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