第22話

あなたとの時間は 1
30
2019/01/20 10:20


俺がその子に会ったのは......そうだな、7、8年前になる。




渉からの紹介だった。



















森崎 渉
そらとせらだよ。
まあ見ての通り双子
相川 そら
そう、双子なんだよ!
相川 せら
......よ、よろしくね
坂倉 悠斗
俺は悠斗。
よろしく!
相川 せら
......うん
相川 そら
よろしく〜!


その頃から、せらとそらは対照的だった。



せらは物静かで大人びている感じだったけど、そらはとにかく
テンションが高かったと思う。



でもやっぱり双子というだけあって、好みとかは結構似ていた。

もちろん顔も。


そして、せら、そら、渉の順で並んでいる時、渉だけが
違っていた。




何が違うって、顔が。



好みとかは一緒にいるとだんだん似てきたりするもんだろう
から、特に気にならないけど、顔はそうじゃない。

血が繋がっていれば大抵似るものだ。














――その後4人で撮った写真には、似た顔は3つだけだった。





















































そしてしばらく遊んでいるうちに、急にそれを言われた。
相川 せら
ねえ、ゆうとくんって、その、
わたしとそらのいとこなの?
坂倉 悠斗
......え
相川 せら
あ、えっと、わたるから、聞いて......
坂倉 悠斗
あー......なるほどね

あいつなら言いかねない。




その時は深く考えずにそう思った。


おそらく、せらに不審に思われてしまい、仕方なく言うハメに
なったんだろう、と。
坂倉 悠斗
わたる!
森崎 渉
ん、なにー?
坂倉 悠斗
こっち来い!
森崎 渉
ええ?!めんどくさいよー!
坂倉 悠斗
いいから!
森崎 渉
分かったよ......

そう呟いた渉は、こっちを見て察したんだと思う。

大人しくこっちへ来た。


......まあ俺とせらが一緒にいる理由なんて1つしかないからな。
















坂倉 悠斗
......それで、なんでせらは知ってるんだ?
森崎 渉
......いやあ、その......
相川 せら
わわ、ちょっと、喧嘩しないで!
森崎 渉
そ、そうだよ、悠斗。
喧嘩はダメだって、落ちつこ......?
坂倉 悠斗
別に、そういうのじゃないけど。
それで、理由は?
森崎 渉
うう......
相川 せら
......あ、あのね!

......あー、ほら、やっぱりそうだろ。

せらに疑われたからだろ?

相川 せら
わたしがね、その、お友達がいなくてね、
それで......
坂倉 悠斗
う............ん?!


いや、ちょっと待て。

今何気に悲しいこと言ったぞ?

え??

そーいうこと、普通に言えるものなのか......?

相川 せら
......それで、その、渉が
「僕はほんとの友達だよ」って言ってくれて......
坂倉 悠斗
............あー


なるほどな、そういう話か。



......何カッコつけてんだ、こいつ。

坂倉 悠斗
森崎 渉
ぅえ!?な、何でしょう!?
坂倉 悠斗
何そんな固まってんだよ......。
まあいいや、そらは知らないんだな?
森崎 渉
......えっとー、悠斗がいとこってこと?
坂倉 悠斗
おん
森崎 渉
知らないよ
坂倉 悠斗
そうか


......ま、そらには言ってないってだけマシか。

2人に知られたら、さすがに母さん達に怒られる。

坂倉 悠斗
......せら


しばらく俺と渉の会話を聞いてた彼女だけに言う。















............せらだけに、だ。











坂倉 悠斗
渉は、ほんとの友達だ。
そして俺が、ほんとのいとこだ




彼女は少し驚いた表情をしている。





やっぱり、信じられないかな。





坂倉 悠斗
......改めて、よろしく


俺はそう言って、笑顔を向けた。













相川 せら
......よろしく、ね





































































――それが、あなたとの時間の始まりだった。











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