第9話

目を落とした先で、 3
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2018/12/26 05:00
森崎 渉
......そら?どうしたの?




たとえいとこでも、男子だから。




それが分かってるから、


ちょっとしたことも、大袈裟に感じちゃうだけ。



転んだのが、恥ずかしいと思ってしまうだけ。





だから顔が熱いのも気のせい。





だよね......?




森崎 渉
............そら?顔赤いけど、熱ある?大丈夫?










......気のせいじゃ、ないのか。






渉の言葉に返せるものが、思いつかない。




......これも、久しぶりだから。





だから。


笑ってごまかすことも、できなくなってるんだよ......。


ただ、それだけ。






















......この考えは多分あってるんだ。





そうだよ。




全部"久しぶり"だから



変に意識しちゃうだけ。










きっとそう。









時間のせいだ。










だから......。



























――なんでさっきから、言い訳ばかり思いつくんだろ。






理由は分かってるはずなのに。




わざわざ自分に言い訳なんて、しなくていいはずなのに。











なんで、渉から離れることができないんだろ......?
























そういえば、渉は"すき"という気持ちが、


あるものだけに特に強く心が惹かれること


みたいなのだって言ってたっけ。


























心が惹かれている......?




渉に......?









私が知ってる"男子"は、渉だけだからなんじゃないの......?























ほんとに......この感情は、思いは、






なんなんだろう――。

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