第26話

あなたとの時間は 5
20
2019/01/28 09:05
森崎 渉
ああ。またな
その言葉を聞いて、俺は部屋を出た。






























廊下に出てすぐに、
森崎 渉
......悠斗、もう少しだけ、時間いいか?
渉に引き留められた。
坂倉 悠斗
......どしたん?
森崎 渉
お前さ、知ってんの?
坂倉 悠斗
......えっとー、何を?
何をって自分で言ってるけど、さすがに渉が言いたいことは
分かってる。

その上で、言ってる。
森崎 渉
せらが――
居なくなったこと、だろ。
森崎 渉
.......いや、なんでもない
............あーもう。

そこはちゃんと言えよ......!
森崎 渉
悪い、引き留めて。気をつけて帰れよ
坂倉 悠斗
............ああ
......久しぶりに低い声が出てしまった。

怒気を含んだ低い声。


それに気づいてないっぽい渉は、振り向いて歩き出した。


先程の声のまま、その渉の背中へと言う。













































坂倉 悠斗
せらが患ってしまったんだから、
そらも同じようになってしまっても
何もおかしくはないからな






























ぴたりと止まる渉の足。



この情報は、つい先日ネット上に公開されたものだ。




お前だって、知ってるだろ?













なあ、渉?














渉は振り向かないので顔は分からないが、おそらく絶望に近い顔だろう。



























あいつは多分、そらが好きだから。



















どうせまた、"現実が受け止められない"んだろうけど。


















坂倉 悠斗
......じゃあな











ボソリと呟き、俺は

『01-02』

と表記された診察室へと向かった。

















































――あなたとの時間を過ごすために。













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