第6話

回送列車 5
50
2018/12/21 22:00
この思いは、なんなんだろう。











......わからない。

















......忘れて、しまった。





















なんでだろう、大事な思いのはずなのに。























名前が、出て、こない......。



















森崎 渉
......そらは"好き"なんだよね、この絵
相川 そら
......すき?



すき......ってなに?



聞き覚えはあるけど......。



森崎 渉
うん。そらは昔から、こういう絵が好きだった
相川 そら
............え?



きょとんとする私に、彼は困ったような顔で続ける。





森崎 渉
こういう絵に心が惹かれる......って
言ったら分かる?
相川 そら
心が惹かれる?
他にもそういうものはあると思うけど......?
森崎 渉
うん、その中でも特別に、だよ
相川 そら
うーん......な、なるほど......?
なんとなく分かった、かも......
森崎 渉
そう、なら良かったよ。なんかごめんね。
......じゃあ、案内お願いしていい?
相川 そら
......うん




"すき"か......。











さっき。

渉の説明が終わったあと。






なんでか、渉が納得いった顔をした気がした。


......いや何に納得いくんだって感じだけど。








だけど......絵を見せてくれる前よりも
ぴったりついてきてくれるし、

"すき"っていうのを説明してくれた時も、
まるで用意してたみたいにすらすらと......。








なんか、おかしい。









けど、"すき"っていうのがそんな簡単に
説明できるものなんだったら。



名前も分からなかった私は、

もっとおかしい。

プリ小説オーディオドラマ