第2話

朝霧さん
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2019/02/04 15:50
「千秋!学級委員なんてキャラじゃないじゃんね!おつー!頑張れー!」
明るく話しかけてきたのは林 彩乃。
俺の中学からの友達ですっげぇテンション高いやつ。
「· · ·あー。だるいけど頑張るよ。」
「千秋、放課後は委員会?しばらくは、
遊べないのー?」
少し残念そうにする彩乃は、つまんなそうに
近くの席に座った。
「まぁ、そうなるよな。忙しいのは
始めと、イベント前後くらいじゃね?
それ以外はあまり仕事はないと思うけど、
そんときは、沢山あそぼーぜ!」
そう、フォローを返すと、彩乃は
パァっと明るい表情で頷いた。
「あの、如月くん!この資料· · ·
見落としてたとこあるか、確認お願いします!」
朝霧さんはそう言って俺に資料を渡した。
「分かった!あ、朝霧さんはもうおわっていいよ!
今日はこれで終わりだろ?お疲れ様!」
俺がそういうと、朝霧さんはまた、頬を赤く染めながら頷いた。
朝霧さんは、すぐ顔に出るタイプで素直に
可愛いと思った。
もっと、仲良くしたいって· · ·
そう思った。。。
· · ·
しばらくすると、資料の確認が終わり
担任に渡すとやっと、委員会の仕事が終わった。
教室に戻ると朝霧さんは、壊れたほうきを
直しているとこだった。
「え、朝霧さん?!ほうき、直してんの?」
俺が驚きながら朝霧さんの近くに行くと、
気まずそうな表情で頷き、
ほうきを直そうとしていた。
でも、不器用なのか
うまく直せなく苦戦している様子だった。
「ねぇ、これ直し始めてから何分やってんの?
俺が職員室について、少し友達と話して
戻ってきたから、20分くらいかかってるけど、
もしかして、朝霧さんはそれくらいやってる?」
俺がそう聞くと
「· · ·20分くらい直してます!」
と言って俺を見た。
正直に言ってくれるのは、スカッとするけど
今はそれどころじゃない。
「なんで、ほうき直すのに20分もかかってんだよw
ほら、貸して。俺がやるよ。」
朝霧さんの意外な一面を見て、
少し面白い子だなと思いながら笑うと
朝霧さんは俺にほうきを渡した。
「あー、これ· · ·もうダメじゃん。
持つところが割れちゃってる。
んー、ガムテープある?」
俺がそう聞くと既に手元に持っていて、
先程まで貼ろうとしていたらしいが、
どう貼ろうか迷っていた様子だった。
「これはね、ざっくりとこうやって巻けば
いいんだよ!頑張って丁寧にやんなくても
いいと思う。」
俺がそういうと朝霧さんは微笑んで
お礼を言った。
「· · ·如月くんはなんで、私のお手伝いを?」
いきなり、朝霧さんに疑問を問いかけられて
驚いた俺は一瞬固まったが、
朝霧さんの問いかけの意味は理解できなかった。
学級委員同士だし、手伝うのは
当たり前だと思ってたけど、朝霧さんにとっては
普通じゃねぇのかな?なんて、馬鹿なことを
思っていると、
「私、中学から学級委員をやっていますが、
殆どは、一緒に学級委員になった人は全て
私に任せていたので、一人でやることは慣れてます。」
と言った。
一人で任せるやつもどうかと思うけど、
慣れてるのもどうかと思う。
「いやいや、普通は手伝うからね?
2人で協力するもんだからね?!一人で
慣れてるって言われても、俺も学級委員だし
手伝ってるわけで· · ·」
俺がそういうと、朝霧さんは驚いた表情を
俺を見たけど、すぐに微笑んで
「それが、普通· · ·ですか?」
と聞いてきた。
「· · ·?うん。」
朝霧さんは、天然なのか、
抜けてんのかわかんないけど、
きっと、素直な子なんだと思う。
もっと、自分に自信を持って
明るくしていたら、もっと印象が
いいんだけどな。
俺はそう思いながらほうきを直して
朝霧さんに渡して荷物をまとめた。

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