『私、、、思い出したんです。全部。』
『思い出した?それは、、今までよく分からないと言っていたことについてかい?』
痩せ細ったオールマイトが、優しそうに聞く。
『はい。』
『それは、、どんな記憶なんだ。』
相澤先生も、いつにもなく優しい声色で話す。
『残酷な記憶ですよ。決して良い記憶なんかじゃない。、、、ヴィランよりも、酷いと、、思います。』
『ヴィランよりかい?』
『はい。まず、、、鬼についてから、ですね。』
『あぁ。』
『記憶がなかったときも、口が勝手に「鬼」と動いていました。それは、私にとって重大なことだったのでしょう。、、、鬼とは、人を食う人間。』
『人間?!』
『えぇ、、、始祖の鬼がいるんです。その名は、鬼舞辻無惨。鬼舞辻の血が体内に入ることで、人間は鬼になってしまう。鬼になってしまったら、自我を無くし、本能のまま人間を殺す殺人鬼と化す。』
『殺人鬼、、か。』
『えぇ、その言葉のままです。実は、、私、転生しているんです。』
『転生って、、』
『私の前世は大正時代。鬼の始祖、鬼舞辻無惨が生まれた時代は平安時代。その時代から、ずっとずっと鬼狩り、、鬼殺隊というものがあったんです。大正時代、ついに鬼舞辻を倒しました。多くの犠牲を払って、、そのとき、私の師匠と、、私自身が死にました。』
『、、、』
『鬼の始祖がいなくなると、鬼は全員消滅するんです。ですから、あのとき、、仲間が鬼を倒してくれたとき、この世界に鬼は消えたんです。ですが、、今、この世界に再び鬼がいる。鬼舞辻が私のように転生したとしても、前世の能力、、前世の血を持ってくることなどできません。ですから、誰かの個性だという可能性が高い。その点については分かりませんが、、、』
『ありがとう。君のおかげでこれから救える人も増えるだろう。』
『、、それなら、良かったです。元鬼殺隊として、、人を救えるのは、本望ですから。、、、前世は、14で死にました。師匠もです。』
『っ?!若いな、、』
『えぇ、鬼殺隊のほとんどが20代かそれ以下です。それ以上は少ない、、、柱の皆も、最長が27歳。皆、、早く亡くなっちゃうんです。でも、、この世界は違う。いや、前世だって平均寿命はもっと高かった。けど、危険が隣り合わせすぎた。ヒーローよりも。だから、慣れているんです。命の危険を感じることに、、、』
『夕凪、、、』
『、、、しかしだよ、夕凪少女。だからって、自分の命が軽いわけじゃないんだ。今世はヒーローになるんだろう?まだまだヒーローの卵だ!!!今のうちは私たちに守られていなさい!!!』
『っ!!、、、はい!』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。