第29話

二十九話
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2020/11/07 12:19
『う〜ん、、まずは、ありがとう。でも、私あなたのことよく知らないし、、』

『これから俺のこと、知ってくれれば良い。最初はさ、お互いのことを知る期間として過ごしたいんだ。俺だって、科の違う夕凪さんことを好きになって、、知らないこときっとたくさんあると思う。でも、知りたい。好きな人のことを知りたいって思うことは、皆そうなんじゃないかな。』

『っ!!』

『俺、、頑張って夕凪さんのこと振り向かせる。だから、せめて夕凪さんと一緒にいる権利が欲しい。今までは全く関わってこれなかったから、、!』

、、、、確かに、分かる。

轟くんを初めて好きになって、、

初恋をして、、

思った。

もっと、轟くんのことが知りたい。

好きなものは?

嫌いなものは?

得意なことは?

苦手なことは?

あると落ち着くものとか、1番大切なものとか、

どうしてヒーローを目指したのかとか、

どうしてそこまでエンデヴァーを憎むのかとか。

きっと辛い過去があったんだなとは思うけど、やっぱりそれまでで。

『まず、、、さ。あなたの名前を教えて?手紙には経営科としか書いていなかったし、、』

『あっ、、俺の名前は結城籟(ゆうきらい)。』

『、、、結城くん。、、、、、よろしくね。』

『えっ、、』

『私にまだ恋は分からない。でも、知りたい。結城くんは、とっても私のことを好いてくれているんだって分かる。』

『それ、、だけで?』

『うん、それだけ。でも十分な理由だと思うよ。恋とかしたこと、、多分、ないから。』

『そ、、そっか!!俺、頑張るよ。夕凪さんに好きになってもらえるように、頑張るから。』

『うん。』

そうして、私たちは「付き合った」。

彼には少し悪いことをしてしまったかもしれない。

でも、もしかしたら彼のことを好きになるかもしれない。

だって、轟くんは叶わない人。

将来、こんな私だって皆を守って、誰かと愛し合いたい。

本当の家族には小さい頃までしか愛してもらえなかったけれど、

自分の子供にはたくさんの愛を渡したい。

彼は私を好きでいてくれる。

それに応えなきゃいけない、、と私は思う。

彼と付き合って、轟くんへの恋心を忘れられたら良いなぁと思い始めている。
零:ママ。

紬:どうしたの?

零:私ね、、、付き合ったの。

紬:えっ、本当?!轟くんのよね?!

零:違う、、結城籟くんて子。経営科の。

紬:え?えっと、、どうして?零は轟くんが好きだったんじゃ、、

零:もう良いの。轟くんへの恋は叶わない。それを忘れるために、私を好きでいてくれる人と付き合うの。

紬:そう、、そういう経験も必要よね、お母さん分かったわ!!でも、それでも何か引っかかったりしたら、、それは、まだ轟くんが好きな証拠よ!自分に嘘は付いちゃダメ。良い?

零:、、、うん。

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