『お父さん、、怖いよ、、』
『ツベコベ言うな!!!お前の母さんが死んだんだぞ?!俺の、、愛する妻が、、うぉぉ、、』
『お、、父さん、、ポロポロ』
まだ幼かった私は、お母さんが死んでしまったことに実感できなかった。
『お前が、、零が、、鬼とか、、訳の分からないことを言うからそれが現実になって、、』
『そ、そんなことっ、、、!』
『全部、、全部お前のっ、、、!』
『辞めてお父さん!!』
『、、、はっ、、悪い、零、、、俺は、、俺は、、あいつを失ってどうしたら良いか分からなくなって、、そうだよな、俺たちの子供だ。ちゃんと零を育てなくてはならないな。』
『お父さん、、』
『悪かった。怖い思いをさせただろう。今日は一緒に寝よう。』
『うん、、、!』
私だって悲しかった。
でもお父さんの方が辛かったのかもしれない。
愛していた人が、突然いなくなってしまう感覚。
、、、何故か私は、それに近い感覚を感じたことがあるような気がした。
あれから数ヶ月。
『今日は零の個性を診断してもらう。俺とあいつの子供だ。きっとこの家に代々伝わっている『格闘』という個性だろうなぁ、、』
しかし結果は
『無個性』だった。
それを知ったお父さんは本当におかしくなってしまった。
『あいつを、、愛する妻を殺したのはお前だ!!!』
『ち、違うよお父さん!!しっかりしてお父さん!!』
『俺はしっかりしている。冷静だ。無個性の子供などいらん!!そうだ、そもそもお前は、、俺から愛する妻を奪った呪われた子供なんだ、、、!!!』
『お父さん、違うよ、、違うって、、、!』
『もう出て行け!!!妻を奪った、、、無個性の子供、、お前の名のように価値がゼロ、零のやつなんていらん!!!』
そう言われ、私は追い出された。
泣きながら道路を歩いていたのを覚えている。
そんなとき、私を拾ってくれた、あるマンションのオーナーの人。
優しい女性で、名を紬(つむぎ)さんという。
個性は『愛』で、たくさんの人に愛を分けてくれる個性。
私にとって、紬さんはヒーローで、第二の母になった。
紬:おはよう、零っ!今日は雄英初日ね〜!!!
零:そうだね、、ママ。
紬:もう〜、、零ったら、こんな日くらいもうちょっとテンション上げていきましょうよ!!お友達、できないわよ〜?
零:、、、大丈夫、ちゃんと作るもん。
紬:ふふっ、零はそこら辺はしっかりしているものね!あ、そうだ、カッコいい男の子とかいたら母さんに教えてよ??
零:はぁ、、
いつもママは私の部屋まで起こしにきてくれる。
部屋の階は一緒で、何部屋か間に部屋があるだけ。
今年から私に一室くれた。
本当にママ、、、紬さんには感謝している。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。